何だか、もう随分前の出来事に思えるけど。
先月のニュージーランド地震の時、奇跡的に救助されながら
片脚切断を余儀なくされた青年に、テレビのリポーターが
「もうスポーツも出来ないよねぇ」「今どんな気持ち?」等と
執拗に心を乱すようなインタビューをしているのを観た。
(辛くて悔しいに決まってるだろ)
それでも・・
助からなかった友人達を想い、気丈に振る舞ってんだろが!
泣かせて率稼ごう、っていう貧しい魂胆がミエミエの
うすら寒いTVショー。
(ふと、あの日の光景が蘇った)
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小学6年生の時、同じクラスにT君という子がいた。
絵描き歌で描けるような、まぁるい顔にまぁるい身体。
そのくせ野球もサッカーも上手く、運動神経バツグン。
笑った顔しか思い出せないくらい、いつもニコニコ。
明るくて良く喋り、良く遊ぶ。
いつも周りに人が集まるみんなの人気者。
そうだな。
例えればまるでアンパンマン。
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そんなT君が卒業式前に怪我をした。
自転車に乗っていて事故に遭ったんだ。
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友達数人と病院に見舞いに行った。
ベッドの上には変わらず明るいT君が居て
イッパイ話した。学校の話題、テレビのコト・・

「じゃぁマタな」「バイバイ」
病室を出て廊下を曲がり受付を抜けたところで
みんな堪えきれずに泣きだした。怒ったような顔で泣きだした。
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T君のベッドの下のスリッパが片足分しか無かったから、だ。