チンケな詐欺師。 | 私的リーガル項

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古いアメ車と暮らす日々。犬のコト、その他諸々を。


「よぉ!久しぶりっ!」


思わずヨーイチと二人で振り返った。


満面の笑みで懐かしそうに近寄って来る男。

オールバックにセカンドバッグ&エナメルの靴。


「こんなトコで会えて嬉しいよぉ!」


中央競馬のような華やかさなんて、みじんも無い

場末感が素敵な尼崎の園田競馬場パドック前。


男の親しげな口調につい引き込まれて聞いてみると

どうやら何年か前にヨーイチに仕事で世話になったらしい。


「あの時はホントに助かったよぉ、アリガトね~」


ヨーイチ本人には、さっぱり記憶が無いとはいえ

こんなに人から感謝をされりゃ悪い気はしない。


「ところで・・さ」


いきなり男が声をひそめて顔を近づける。


「せっかくココで再会出来たんだからさ、アノ時のお礼をさせてよ」


さらにもう一段、声をひそめながら顔を近づけて・・


「次の11レース。実はね・・②-⑥が来るコトに決まってんだ」


複数の関係者から仕入れた、ヤバい裏情報だと言う。


「オレ、今はこういう裏競馬だけでメシ食ってんだ」


そっと開いて見せてくれたセカンドバッグの中はギッシリ詰まった札束。


その時、馬券販売締め切り3分前のベルが鳴り響いた!


「ホラッ!借金でも何でもして有り金ぜんぶで②-⑥を買った方がイイよっ!」


男の言葉が終わらないうちに2人とも売り場に駆けだしていた。


(いやぁスゴイ情報聞いたっ!ラッキー!)

(やっぱ人には親切にしとくもんだなぁ!ヤッホー!)


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まばらになったスタンド。ハズレ馬券を投げ捨てる人々。


・・結果は言うまでも無い。


知り合いを装って近づき、裏情報だと偽って

その馬券を買わす。


で、レースの結果が外れれば、そのままドロン。

当たっていれば情報料をせびるというセコい詐欺。


いわゆる「コーチ屋」。その典型的な手口、でした。

恐らくアノ札束もせっせと新聞紙を切って作ったんだろな。


いやはや清々しいまでにコロっと騙されたバカ2人。

嗚呼・・思えばアノ頃はウブでした・・





とまぁ、そんな懐かしくもチンケな詐欺師のコトを


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テレビでシマダシンスケを見るたび思い出す☆