夏が来るたび、鮮やかに思い出す光景があります。
今はもう埋め立てられて、マンションや工場になっちゃってますが
ずっと以前、私の育った町には小さな砂浜がありました。
地元の人しか知らない、ホントに小さな、小さな砂浜。
信じられないかも知れないけれど、まるで「ビッグ・ウェンズデー」のように
そこには一年に一度か二度、なんとサーフィンが出来る波が来たんです。

勿論、サーフィンが出来ると言っても、所詮そこは大阪湾なワケで
オンショアの中、無理やり何とか立てる程度のショボい波だったけど。
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そんな砂浜で毎日、毎日、いつ来るか分からない波を待ちながら
友達とボードを並べて長い夏をやり過ごしていたある日。
いつものように女の子のコトとか、女の子のコトとか、女の子のコトとか
車や音楽のコトを話していたら。
遠くの方から近付いてくる大型バイクの音。振り返ると防波堤の横に
1台の750。降りてきたのは白のフルフェイスに真っ赤な皮のツナギ(真夏なのに)。
ヨソ者が来ることなんて滅多にないから、みんな黙って見つめていると。
ヘルメットを脱ぎ、頭を振ると風にたなびく長くて綺麗な髪があらわれて
颯爽と皮のツナギのジッパーを下ろせば下には直接、眩しく黄色いビキニの水着。
そのままゆっくりヘルメットを枕に一人で太陽を浴び、しばらくしてまた優雅に
バイクにまたがって去って行きました☆
(カ、カ、カッコいいー!!)
もうね。クチぽかーん、です。何ですかアレ。女神を見ちゃったの?オレ達は。みたいな。
今思えばその間、ものの15分か20分足らずの出来事だったけれど、ホントに時間が
止まったように思えたあの日。
結局、その砂浜に女神が再びあらわれるコトはなく、大人になった私も海から遠ざかり
こうして空調の効いたオフィスで時折、青空を眺めて過ごすだけの毎日ですが。
今でも鮮明に蘇る、ちょっと素敵な夏の思い出です☆