「ぴの」さんからの爆音レビュー! | THE BACK HORN『アサイラム』爆音レビュー大会 Powered by Ameba

「ぴの」さんからの爆音レビュー!

究極の共鳴体験―これがバックホーンのニューアルバム、アサイラムのもたらしてくれるものだ。一曲目の雷電から、まるで稲妻が空中を切り裂いてくれるように、音が耳から体中をつらぬいていった。そしてその状態は11曲目のパレードまで、ずっと続いていった。絶望がどうとか、希望がどうしたとか、一切そんなことを考えなかった。理性を一時停止させるほど、一曲一曲がとにかく濃密でパワーに満ち溢れていたのだ。次々と繰り出される強烈な音世界に、心の奥深くがただ、ふるえ続けていた。それはまさに、バックホーンの掲げるテーマ「KYO-MEI」が私自身の中で具現化された瞬間であった。アサイラムの楽曲はどれも、混沌も焦燥も絶望も全部抱えながら、それでも光を希求したものになっている。例えこの世界が死臭放つラフレシアのようであったとしても、そこで拒絶の矢を突き立て、戦っていく確固たる意志がある。常に生と死を見つめながら、音を鳴らし続けてきたバックホーン。そのバンドが辿り着いた、新たな聖域。それはこれから私にとっても、大きな精神の寄りどころとなるだろう。もう音楽を現実から避難する道具にはしない。


ぴの