「押方茉り加」さんからの爆音レビュー! | THE BACK HORN『アサイラム』爆音レビュー大会 Powered by Ameba

「押方茉り加」さんからの爆音レビュー!

パルスから2年。
 THE BACK HORNというバンドが作り上げる世界にもうひとつ扉ができた。どのような世界なのか、それはいつも自分の耳で感じて扉を開けることで「観る」ことができる。アサイラムという扉の向こうに広がっていたのは、自分の予想をはるかに超えていた。まさに天に上ったようなよりどころだった。
 雷電という、念仏と音楽を組み合わせた、どこか別世界に誘われるような曲から始まり、ラフレシア、戦う君よ、再生で「もっと前へ、もっと」と背中を押される。羽衣、海岸線でバラードとは違う、でもしっとりとした世界にいけたと思いきや、ペルソナ、太陽の仕業、閉ざされた世界で刺激的な、爆裂した世界に再び引き込まれる。汚れなき涙の激しくも美しい、ドラムの松田らしい世界観が現れ、そして、パレードへ。ヴォーカルの山田将司が作ったというのが意外だったパレードであるが、また現実の世界へ戻る気にさせてくれる、そんな一曲。
 現実に満足していても、していなくても、もう何度でも戻って、また現実で生きていこうと、そう思える作品であると、私は思う。
 どちらかというと初期が好みだった私も、このアルバムはすべての曲がすっと入ってきて、非の打ち所がない。これが、これからのTHE BACK HORNなのだと感じることができた。爆音の中にある彼らの世界を、ぜひほかの人にも感じてもらいたい。


押方茉り加