妄想族 小さな幸せで妄想
やすらかで、
穏やかな小さな幸せは

いったい全体、
どこにあるんだろう

こんなに探しているのに、
いっこうに見つからない

公園に探しにいって

デパートに探しにいって

レストランにも行ってみた

届け主を母親や友人や
恋人にゆだねてみた

もらえる時があったようにも
思うけど

ただ、それは手に
落ちたと思った瞬間

どこか遠くに飛んでいったり

幸せのはずが苦しみに
変わったりして

酷く不確かで不安定なものだった

家の中にあるのかもしれない
とも思った

そう、
よく言われるようにそれは

「小さな幸せ」と
呼ばれるにふさわしく

私の身近にあったのです

朝

隅々まで探してみた

やっぱり見つからなかった

小さな幸せを探すのに
何だか疲れてきた頃

ふいに空を見上げた

太陽のキラメキがやたらと
眩しくて

思わず目を閉じたんです

とその時

何かが私の中ではじかれた

はじかれたそれは

すぐに熱となって私の胸を温め

洞察と理解をうながした

そう

探し続けた小さな幸せは

瞼を閉じたところに
あったんです
