妄想族 優しさの理由
人と人の間に流れるものは

「1+1=2」というふうに、
はっきりと答えの出るもの
ばかりではなく

むしろ、
白色と青色の絵の具を混ぜて

水色をつくるようなものです

決してひとつの色にはならずに

様々なニュアンスや
グラデーションを含む
色になります

人間関係・・・
恋人関係も含めて

人の感情、
心の色合いは本当に
「色」のようです

嬉しい、悲しい、
淋しいなどと

ざっくりと気持ちの
色分けをすることはできますが

決してひと色ではない

人間力、
というと大袈裟かも
しれないけれど

人の心の力というのは

ひとつは他人の心の色合いを

どれだけ見ることが
できるかということではないか
と思います

どんなふうに悲しいのか

どんなふうに淋しいのか

それを慮るのは余計な
ことなのかもしれませんが

できるだけ汲み取ってやる

というのが人と人の心を
近づけることに
寄与するように思うのです

人と人との間には、
想像力ほど大切なものは
ないように思います

心の経験を積み重ねることで

心の色合いがわかるように
なります

痛みを知る人は

やはり優しい

何も言わずにそっと傷口に

手を添えてくれるような
優しさがあります

深い悲しみを知る人は

黙ってそこにいて
くれます

慰めの言葉もなく

声高に励ますことを
しなくても

優しさがシンシンと
伝わってくる

悲しみや淋しさに
出合った時も

その悲しみや淋しさを
受け止めようよ

そして、
その波が引きかけた時に
自分をこう励ましましょう

だから、
優しくなれるのだ

とね

それは、
悲しみや淋しさの
恩恵なのだとね
