『多系統萎縮症の疑いがあります』

大きな病院の神経内科医は告げた。


私がもし

その病の「行く末」を

事前に知っていたなら


妻に気づかれぬよう

こっそり泣いたかも知れない。


ただ

そのいくつかの説明だけでも

将来オオゴトになるのは

理解できた。


家に戻り

さらに詳しく調べてみれば


命に関わる話はせずにいてくれた

その医師の

妻への気づかいに

感謝しかなかった。


私も

これ以上

妻には教えないつもりである。