新築物件の販売好調に引きずられるように中古物件の流通も活発化しているんです。
アベノミクスの4本目の屋とも言われる五輪招致の成功で、更なる価格高騰の可能性もあり、消費増税は201年4月から実施でほぼ決定。
『今後中古市場はどう変化していくのか?』
興味深い意見を住宅新報(平成25年9月24日号)より抜粋してレポートします。
■首都圏<1都3県>の2013年8月の中古マンション成約数
2250件 前年比16.0%増
⇒12か月連続で前年水準を上回り。
■ 〃 成約平均価格
2556万円 前年同月比3.5%上昇
⇒8か月連続で前年同月比を上回り。
■ 〃 成約平均築年数
20.08年
⇒調査以来初の20年台を記録
新築物件の取得数はリーマン・ショック後落ち込んでいるが中古住宅の取得戸数は落ちずに推移。
今後もゆるやかに中古住宅ニーズは高まっていくのは確か。
郊外より都心部、それもマンションに集まってきている。
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現在、首都圏都心部の新築マンション価格が相当上がっている。
背景にはアベノミクスによる円安や被災地の復興建設需要による資材、人件費の高騰がある。
今後もその傾向は続くと予測する。政府は資産価値が上がる政策を打ち出しているので、
金利の上昇、物価の上昇などの要因を考えると、当面価格が下がる要素はない。
⇒より中古に目が向きやすくなる。
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首都圏の新築マンションは団塊ジュニア世代向けの当て見込もあった。
リーマン・ショック前の供給数がショック後には半減。
いまの価格上昇にはその需給調整があると思われる。
⇒積極的に「中古住宅がいい」というのではなく「新築価格が高くなって買えない」という層が中古住宅に流れている。
昔に比べて中古住宅への評価は確実に上がり抵抗感はだいぶなくなってきていると思われる。
1981年に建築基準法が変わり、90年代になるとスタイリッシュな物件も増え、内部構造的にも新築と変わらなくなっている。
加えてリタイア後約15~20年を生きるために住宅を確保しなければならないが、一方で情報通信費や地方では車の維持費が必要、生活のための一定のキャッシュ・フローも保たなければならないが、生活を切り詰めることができにくくなっている。
そのような状況のもとトータルの資産ポートフォリオの中では、住宅の価値は低くなっている。
年金も下がっていく中で、若い世代は住宅にかける費用を抑えていく必要がある。
※ポートフォリオとは。。。投資
家や金融機関が保有する、株式
をはじめとする各種
有価証券類。
合理的な投資家は、リスク
を最小限
にして、リターン
の最大化を図ろうとする。そのために、投資家はポートフォリオを組み、様々な資産
を組み合わせる。
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今後の住宅市場の鍵を握るのは?『資産の世代間移転がどこまで進むか』
世代間贈与は結構効いている。特に団塊世代と団塊ジュニア世代。
団塊世代はちょうどリーマン・ショック前にリタイアし、ある意味最もいい時期にリタイアした世代。
その恩恵を団塊ジュニアが最も受ける。
今後、この下の世代についてこうした世代間移転がしにくくなると、高止まりした新築マンションから中古という流れが当たり前になる可能性がある。
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五輪の舞台となる湾岸エリアの価格も気になるが「用地などは十分確保された上での招致なので、五輪開催が地価上昇を引き上げることは考えにくい。湾岸部は東京都内でも今後も大量に新築物件が供給されてる予定。ストックに対しての新規物件の量が大きいので、物件がないから中古価格が上がっていくというプロセスはたどりにくいと思う。」
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【まとめ】
建築費高騰による新規物件、とりわけマンション価格の上昇、そして東京都心部を中心とした供給量不足による新築価格の上昇、それに伴う中古マンション価格の上昇という現状のトレンドを、消費税率アップや東京五輪などのインパクト要因が、さらに押し上げることはななそう。
結局、価格調整がなされる時は需給のバランスが変化した時。
当面供給側が増やしてこない限りは、新築価格の上昇傾向は急激に崩れることはなく、新築価格の上昇に伴う相対的な価格の割安感があれば、中古住宅へのシフトも当面続くだろう。
あすなろの杜ワークス