【政治部デスクの斜め書き】ノーコメント繰り返す仙谷官房長官の支持率は?
(産経新聞 2010.10.24 18:00) http://bit.ly/auENtc
いまから何年も前のことだが、ある野党党首から「産経新聞で毎週月曜日掲載されている『今週の世論調査から』を読んで、世論動向の参考としているんですよ」と言われたことがある。これは日曜日朝に放映されているフジテレビ番組「新報道2001」が首都圏男女500人を対象に実施している調査のことで、今回も10月21日に調査が行われた。本紙では25日付の朝刊に掲載される。
この党首は「数千人規模で行われる他の世論調査に比べて対象数は多くなく、調査の母数や有効回答率の問題もあるが、世論の動向をけっこう正確に反映していると思う」と語っていた。都市部選出なので、特に首都圏の住民たちの意見が気になっていたのだろう。
それ以降、私もこの欄を注意深く読むことにしている。
今週のテーマは沖縄・尖閣諸島沖でおきた中国漁船の衝突事件だった。79・4%が日本政府は「適切な対応をしていない」と答えた。「適切に対応をしている」と答えたのはわずか14・4%だった。「その他、わからない」は6・2%。
那覇地検が勾留期限前に中国人船長を釈放したことについて、政府は「粛々と国内法に基づいて手続きを進めた結果だ」(仙谷由人官房長官)として、中国の圧力に屈したのではないと強調しているが、調査結果をみると一連の日本政府の対応に対する不満が強いことがうかがえる。
政府が公開を渋っている衝突時のビデオ映像についても、71%が「国民にも公開すべきだ」と答えている。
ビデオをみた前原誠司外相は「世界に説明することが大事だ」と述べ、各国政府へ説明するよう在外公館に指示したというが、調査にあるようにすぐに公開していれば、国内はもちろんのこと国際社会にもより説得力を持って、日本の主張が正しいことを訴えられたのではないか。世論調査の結果も異なるものとなったかもしれない。
衝突にあたって中国人船長は「酒に酔っていた」、「パニックに陥った」、あるいは「中国当局から事前に日本側を試すよう指示されていたため、わざとぶつかった。だから中国側は船長が真相を語るのを防ぐため強硬に釈放を求めた」など、様々な見方が出ている。
ビデオを公開し、国民や国際社会に正しい情報を伝えることで、憶測が広まるのを防げるというものだ。
ビデオを国民に見せることには慎重な仙谷官房長官だが、自身の定例記者会見については、今後記者団との一問一答の全文を首相官邸のホームページ上で公表する考えを明らかにした。
仙谷氏は21日の参院内閣委員会で、公表する理由について「きょうもある新聞記事が、いろんなところを切り取って書いている。ちゃんと全文を見ていただくようにした方がいい」と指摘した。
もっとも、公表によって仙谷氏の実態が明らかになり、仙谷氏にとっては逆効果となるかもしれない。23日付朝刊でも紹介したが、22日午前の記者会見で、仙谷氏と記者団との間で仙谷氏の「不適切な答弁」について、次のようなやりとりがあった。
官邸のホームページではまだ記者団との一問一答を公開していないので、本紙の会見録を公開すると:
仙谷氏「参議院議院運営委員会理事会に呼ばれましたので、そして陳謝をせよということでございますので、次の通り、私の方から申し上げました。
『鈴木委員長をはじめ理事の皆様のご了承を得て、一言、申し上げます。参議院における質疑において、私から、不適切な答弁、本院決定事項について異を唱えるような答弁がございましたことについて陳謝いたします。今後、国務大臣として、真摯な答弁に努めてまいりますので、何卒宜しくお願い申し上げます。また、蓮舫大臣の雑誌記事の件についても、院内の議員活動の範囲を超え、また、その後の本院における答弁も不適切であったことを私からも厳重に注意をし、本人も反省しております。官房長官として陳謝いたします。今後内閣としてこのようなことが起きないように十分気を付けてまいります』
これを申し上げてまいったところでございます」
Q「参院質疑での不適切な答弁はどの答弁でどういう点が不適切だったのか」
A「あのう、今申し上げたのを、あるがままに受け取っていただければ結構でございます。ノーコメントに致します。はい、どうぞ」
Q「謝罪をした感想は」
A「ノーコメントです」
Q「議運の理事から発言は」
A「それもノーコメントです」
Q「経済対策などをめぐって国会で与野党協議の在り方が協議されている中、長官の答弁が議運で問題視されていることについてはどう考える?」
A「ノーコメントです」
Q「長官、なぜノーコメントなんですか?」
A「ノーコメントだからノーコメントです」
「今週の世論調査」では、菅内閣を「支持しない」と答えた人は46・4%と、「支持する」と答えた43・6%を上回った。
仙谷氏の支持率は設問にはなかったが、ノーコメント六連発の反応をみてみたい気がする。(有元隆志)