●官邸、「地検の判断」強調 政治決着の見方避けられず
(共同通信 2010/09/24 20:57)  http://bit.ly/9HSHMf


 政府は24日、沖縄県・尖閣諸島周辺での中国漁船衝突事件で、「日中関係」を理由に、船長を処分保留で釈放するとした那覇地検の決定について「地検独自の判断」(仙谷由人官房長官)と強調、外交的配慮から首相官邸サイドが捜査に「介入」したとの見方を否定した。

 しかし、日中関係を理由とした釈放が「政治決着」と受け取られるのは避けられず、方針転換の印象が強い対応となった。

 柳田稔法相は釈放決定について記者団に「指揮権を行使した事実はない」と明言。「一般論として、検察当局の事情にかんがみ、法と証拠に基づいて適切に判断した」と強調した。

 今後も政府は地検の判断との立場を堅持するが、その場合、「今後の日中関係を考慮した」との那覇地検の説明が、ネックとなる。司法の枠を超えた判断との批判を招くからだ。仙谷氏は記者会見で「それだけの判断とは言っていない。情状や犯行状況など総合的な判断と理解している」と釈明するが、説得力に欠ける。

 24日には、中国河北省の軍事管理区域に許可なく侵入した疑いで日本人4人が中国当局に拘束された問題が発覚。野党からは船長の保釈をめぐり「中国の強硬姿勢に屈した」との批判も出ている。



●船長釈放は検察判断=日中関係修復に努力―官房長官
(時事通信 9月24日(金)16時24分配信) http://bit.ly/9XsKPu


 仙谷由人官房長官は24日午後の記者会見で、沖縄県・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件をめぐり、那覇地検が容疑者の中国人船長の釈放を決めたことについて「刑事事件として刑事訴訟法の意を体してそういう判断に到達したという報告なので、了とした」と述べ、検察独自の判断との立場を強調した。
 政府は那覇地検の発表を受け、船長の釈放について、外交ルートを通じて中国政府に伝達した。仙谷長官は、事件をきっかけに日中関係が険悪化していたことを認めた上で、「日中関係は重要な2国間関係だ。戦略的互恵関係の中身を充実させるよう両国とも努力しなければならない」と、修復に努める考えを示した。
 仙谷長官は地検の判断について「粛々と国内法に基づいて手続きを進めた結果、ここに至ったという理解だ」と強調。柳田稔法相と同日昼すぎに会談したことに関しても「(地検の判断とは)全く別件だ」と述べた。
 地検が「日中関係への考慮」に言及したことについて、仙谷長官は「検察官が総合的判断で処分を考えたとすれば、そういうこともあり得る」と容認する姿勢を示し、拘置期限の29日を待たずに釈放を決めたことについては「捜査上の判断だ」と述べるにとどめた。
 訪米中の菅直人首相には、地検の決定後に秘書官を通じて連絡したという。釈放の決定に対しては民主党など政権内部からも批判が出ているが、仙谷長官は「承知していない」と語った。


●釈放に政治判断なし、検察が決定…那覇地検会見
(読売新聞 2010年9月24日20時04分)  http://bit.ly/bAUmPN


 那覇地検の鈴木亨・次席検事が24日に行った記者会見の要旨などは次の通り。

 本日、公務執行妨害罪で拘留しておりました被疑者を、処分保留のまま釈放することに決定しました。なお、被疑者に確認すべき事項もあり、釈放の具体的日時等は未定です。

 同事件では万全の捜査態勢を組み、本日まで、石垣海上保安部とともに捜査を行いました。これまで収集した証拠によっても、被疑者が、我が国の領海内で、適正な職務に従事していた石垣海上保安部所属の巡視船「みずき」に対し、故意に同漁船左舷船首部を、みずき右舷船体中央部等に衝突させたことは明白です。

 また、被疑者の行為は、みずきに航行障害を発生させる恐れや、甲板上の乗組員らが海に投げ出される恐れがあった危険な行為でした。他方、みずきの損傷はただちに航行に支障が生じるものではなく、乗組員が負傷するなどの被害の発生もありませんでした。

 被疑者はトロール漁船の一船長で、本件は、みずきの追跡を免れるためとっさにとった行為と思われ、計画性等は認められず、被疑者には我が国での前科等もありません。加えて、我が国国民への影響や今後の日中関係を考慮すると、身柄拘束を継続して捜査を続けることは相当でないと判断しました。

 被疑者の処分については、今後の情勢を踏まえて判断する予定で、本日、福岡高等検察庁および最高検察庁と協議の上で決めました。

 以下は主な質疑応答。

 ――処分保留の理由は?

 本件について必要な捜査がほぼ終結する見込みとなったためです。

 ――釈放の理由に政治判断はあったのか?

 そのようなことはございません。検察当局として決めたことです。

 ――「日中関係を考慮すると」という部分だが、具体的に言うと、悪影響が及ぶであろうということか?

 あくまで本件に関する諸事情の一つとして考慮した、ということに過ぎないとご理解ください。



●容認できない!民主議員も釈放撤回求め抗議文
(読売新聞 9月24日(金)20時31分配信) http://bit.ly/a1SQ1r


 沖縄・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件で逮捕した中国人船長の釈放を那覇地検が決めたことに、野党の多くから批判の声が出た。

 野党側は9月28日に行われる参院外交防衛委員会の閉会中審査や10月1日からの臨時国会で、政府の判断をただす方針だ。

 自民党の谷垣総裁は政府の対応について、「小泉政権の時は尖閣に上陸した者を国外退去とした。そういう処理もあり得た。中国の圧力に屈した印象をもたれるのはよくない」と指摘した。那覇地検が釈放理由として日中関係への配慮などを挙げたことについては、「捜査機関が言うべきことではない」と述べた。

 同党の安倍元首相も「釈放は那覇地検というより、菅政権の判断といっていい。極めて愚かな判断だ。領海侵犯は明々白々で、中国の圧力に政府が屈した」と語った。自民党は27日に緊急の外交部会を開いて政府、検察の対応を検証し、政府を国会で追及する構えだ。

 また、みんなの党の渡辺代表は「明白な外交的敗北だ。菅内閣の弱腰外交を糾弾しなければならない」と述べた。たちあがれ日本の平沼代表も「遺憾だ。中国の(尖閣諸島の)領有権を日本が暗に認めたことにもなりかねない」と語った。

 与党でも今回の対応を批判する声が出ている。

 民主党の松原仁、中津川博郷衆院議員ら有志議員5人は、「我が国の法秩序をじゅうりんするもので、容認できない」として、検察当局に釈放決定の撤回を求める抗議文を発表した。一部の民主党議員の事務所には、抗議の電話やファクスが届いているという。

 国民新党の亀井亜紀子政調会長も「釈放には政治的判断が働いたと考えざるを得ないが、検察の仕事ではなく、おかしなことだ」と指摘した。

 これに対し、民主党の岡田幹事長は24日、党本部で記者団に、「(検察が)総合的に判断することは現行制度上、あり得ることで、政府、政治家がいちいちコメントするのは避けるべきだ。司法の独立、検察が自ら判断したことが重要だ」と述べ、冷静に受け止めるべきだと強調した。

 野党でも、公明党の山口代表は「釈放は一つの転機になる。法的な主張をぶつけ合うより、政治的な解決をしていく場面に転じた。(釈放判断は)必ずしも否定するべきではない」と述べ、今回の対応に理解を示した。社民党の福島党首も「地検の処分を尊重するしかない」と語った。



●次席検事発言を問題視=臨時国会で追及へ-自民
(時事ドットコム 2010/09/24-18:57)  http://bit.ly/atbXTx

 尖閣諸島沖での漁船衝突事件で、自民党の谷垣禎一総裁は24日、中国人船長の釈放を決めた那覇地検の次席検事が日中関係を考慮したなどと発言したことについて、「捜査機関が言うべきことではない。外交を考え、政治的判断を加える役割は政府が担うべきだ」と問題視した。その上で、「きちっと検証する必要がある」として、10月1日召集の臨時国会で追及していく方針を明らかにした。党本部で記者団に語った。
 石破茂政調会長も「こんなことをする権能がいつ検察に与えられたのか。検察は証拠捏造(ねつぞう)も政治的判断もできるようになったのか」と厳しく批判した。



●検察OB 外交的判断で問題
(NHKニュース 9月24日 20時1分) http://bit.ly/c7fTWh  

那覇地検が中国人の船長を処分保留のまま釈放することを決めたことについて、元東京地検公安部長の若狭勝弁護士は「事件捜査としては、こう留期限まで5日も残して釈放するのは異例だ。那覇地検は、釈放の理由について『国民の利益や日中関係を考慮したなかで、捜査を継続するのは相当でない』と発表したが、検察がこうしたことを独自に決めたとすれば、捜査機関が外交的な判断を行ったことになり問題だ」と述べました。そのうえで「実際には政府が中国側の反応やフジタの社員が中国で拘束されたことを受けて、高度な政治的理由から判断し、それに基づいて釈放が決まったと考えるのが自然だ」と話しました。



●船長釈放「司法が判断するのは違う」…橋下知事
(読売新聞 2010年9月24日20時57分) http://bit.ly/9OAV02

 那覇地検が「日中関係への考慮」などを理由に中国人船長の釈放を発表したことについて、大阪府の橋下徹知事は24日、府庁で報道陣に、「そんなことは政治家が責任を持って言わないといけない。政治家がしっかり方針を出すべきだ。司法が判断するのは違うんじゃないか。検事に(判断の)負担を押しつけている」と述べ、政府を批判した。




●平野前官房長官「おかしい」
(産経ニュース 2010.9.24 17:45) http://bit.ly/b5Tam1  

 平野博文前官房長官は24日、那覇地検が中国人船長の釈放の決定を発表したことについて産経新聞の取材に対し、「おかしい。拘留延長して途中で(釈放決定)というのは、どういう理由なのか、はっきり説明しないといけない。何のために拘留延長したのか意味がよく分からない」と指摘した。



●尖閣諸島中国漁船衝突事件 漁船船長を釈放へ 仙谷官房長官「那覇地検の判断」
(FNNニュース 09/24 17:40)  http://bit.ly/ctDQnj

海上保安庁の巡視船と中国漁船が尖閣諸島付近で衝突した事件で、那覇地方検察庁は24日午後、拘置していた漁船の船長を処分保留のまま、釈放することを明らかにした。
24日午後4時からの会見で、仙谷官房長官は「那覇地検の判断でございますので、それを了としたいと思う」と述べた。