参院選1人区勝敗予想 民主17勝・自民12勝

(日刊ゲンダイ2010/6/28)

注目は東北3県、山陰2県、九州3県
菅首相が勝敗ラインにした54議席を、民主党は超えることができるのか――。明暗を分けるのは29の1人区だ。07年の参院選では、民主党は23勝6敗と圧勝した。しかし、今回は20勝の大台は遠く、苦戦を強いられている。
◇代表選の「空白の10日」で運動ストップ
公示後最初の週末を過ぎた現在、1人区の情勢は、「民主優勢」「自民優勢」「大接戦」がほぼ3分の1ずつといったところだ。民主党は、岩手、三重、滋賀、奈良、岡山、大分など10選挙区が◎。自民党は、群馬、和歌山、佐賀などが◎。富山、福井、石川の北陸3県も自民が強い。
「富山県は、国民新党と社民党に組織力があるのですが、菅政権で民主党が両党と微妙な関係になっているため厳しい状況です」(地元記者)
大接戦となっている選挙区のうち、注目は、青森、秋田、山形の東北3県、鳥取、島根の山陰2県、長崎、熊本、鹿児島の九州3県の行方である。特に青森、秋田は、過去2回の参院選で自民候補が敗れている。下馬評では「民主の候補が勝って当たり前」(民主党議員)といわれていた選挙区なのに、自民候補に追いつかれそうなのだ。
民主党の地方県連関係者は、ここにきて苦戦を強いられている理由を、「執行部の交代で運動が止まったことが痛かった」とこう話す。
「代表選とその後の人事で、党本部から6月分の活動資金が来るのが遅れ、運動が事実上止まったのです。公示までに、どれだけのビラや機関紙を配布できるか、遊説カーを何台動かせるかは勝敗の行方を左右するほど重要。公示後は公選法により、選挙カーとビラの枚数に制限がありますから。代表選前後の空白の10日間で、接戦の選挙区は、自民との差が狭まりました」
マスコミ各社や政党の情勢調査などを総合すると、接戦の多くを民主党が逃げ切ったとして、1人区の民主の予想は17勝。自民は12勝。しかし、自民党の地方県連関係者は、「一時の菅内閣の追い風は弱まり、民主か自民かの選択肢しかない1人区のトレンドは自民。1人区は元来保守地盤で、なんやかんや言っても、自民の方が組織力がある」と強気。民主が17勝から上積みするには、「みんな平等」なんて言ってないで、テコ入れ選挙区の“選択と集中”が必要だ。