渡辺謙、樋口可南子。
広告代理店でバリバリやってる課長。しかし、物忘れが激しくなり、アルツハイマーとわかり、心の葛藤と戦う。あまり家のことも振り返らずやってきていて、娘は結婚することとなり、それまではと頑張る。道もわからなくなり、会社も辞めることとするが、それを追いやった次の課長にもがんばれよと声かける。日頃強い主人公だが、かっこいい。妻は初めて外に働きに出て、店長まで任せられることとなり、強くなっていく。しかし、次第にひどくなって、妻に嫉妬したり、皿で殴ってまでしてしまう。そんな自分に嫌気がさし、置いていたパンフレットをみて、施設を見学にいく。そして妻にプロポーズした陶器の焼き場に行くと、昔の教えていた老人に教えをこい、妻の名前 の入ったカップを焼き上げる。老人はボケと言われるが、施設にも入らず、決めるのは自分だ、生きていることが大事だとメッセージを伝える。そしてその帰り道、迎えにきた妻とすれ違うが、もう覚えていなく、その姿に妻は悲しくもなるが、知り合った頃の会話を再びして、喜びももちながらふたり歩いていく。痴呆を利用して請求金を二回もらう陶器の教室の先生、いつか戻ってこいやと声かける取引先の課長と人の嫌なところといいところも起こりながらすすんでいく。
★10
俳優の芝居がすばらしい。人間の嫌な部分と素晴らしい部分。強い人間がそれをあきらめるとき。人はいずれ活躍するのが終わるときがくる、それを思って何が大切なものかをわからせてくれる。その中でかっこいい生き方、それでもいいんだと思える解決策、なかなか深い映画。