このタイミングでこの日記を書くのはどうかなと思ったのですが、自分の中で表現しておきたいと思ったので、やっぱり残すことにしました。
けっこう重いことを書くので、最後まで読まない方がいい人もいるかと思います。
でもあえて書きます。

先日中絶を経験した女性に対面でインタビューをさせていただくことがありました。
インターネット調査で広く望まない妊娠をした方にも聞いてはいますが、
実際に中絶をした人がどうしてそうなってしまったのか、そこにはどんな思いがあるのか、という生の声を、今後のピルコンの活動に生かしたいと思ってしています。

昨年から始めて、時間の使い方のバランスがうまくとれずまだ7人目の方なのですが、今年の4月にその悲しい経験をされ、その後にピルコンを知っていただき、ご自身からご協力したいとアプローチしてくださった方です。

妊娠が産婦人科で決定的になった瞬間、産めない、中絶しかない、と思い、その3日後には手術を受けた彼女。
まだ精神的にも経済的にも未熟な自分はとてももう一人の人生なんて支えられない、という思いで、産むという選択肢は考えられなかったと言います。一方で、一生消えないであろう罪悪感に今も苦しんでいます。
避妊を彼任せにしてしまったことや、まさか自分の身に降りかかるできごとだとは到底思えなかったこと。高校の性教育は、どこか現実味がなく、テスト後には忘れてしまい、自分がいざ性体験をするようになるまで当事者意識をもてなかったこと。

今自分が生きる意味について、自分の存在価値について、悩んでおられるようなところ。

彼女の話に自分を重ねながら、また彼女も私の体験や思いをご自分に重ねながら、自分の人生に起きた予期しない悲しい出来事を反芻しあうような、そんな時間でした。



私は中絶直後の自分の状況をよく「真っ黒」だったと思い出します。
それは多くは自分の置かれる状況のイメージで、絶望感だったり、孤独感、罪悪感、喪失感があるのですが、もう一方で、環境ではなく、自分自身の中の「黒さ」も感じるように最近なりました。

真っ暗な当時の自分の状況のイメージ。
それが、
「あ、私も黒い。」
と、ぽっと思いました。

自分のためなら、何の罪のない真っ白な人の命も奪える残酷さ。黒さ。
子どもや周りを不幸にしないための選択、ということもあると思いますが、私の場合は完全なエゴだったと思います。
産もうと思えば産めた。近しい周囲の人も私が産んだ場合の協力の意思を示してくれた。
けど、私はあえて「産まない」という選択をした。
「自分の意思で子どもを殺す」という選択をした。
と、私は自分の行為をそう解釈しています。

だから、中絶を選ぶことと、自分が殺人者のアイデンティティーをもつことは同時なんだと思いました。
中絶が殺人か、というのは別の議論になると思いますが、少なくとも、私の中では、殺人という認識でいます。

自分に内包されていて、他の人には、見えないように隠すことはできても、洗っても絶対にとれない黒いものが私にはある。

インタビューをした彼女は「心のシミのような体験」と表現していて、私も近いものを感じました。

とんでもないどす黒さをもっている自分。
偶然知ってしまったその自分の残酷さ。
でもそれでも自分の人生を生きるしかない。
過去は変えられない。
軽蔑したいほど汚い自分の選択でも、そんな自分と決別することはできず、死ぬまで自分は自分でしかない。

けど、向き合うのも、向き合わないのも、自分で決められる。
忘れてしまうこともできると思う。
私と同じような経験をして、それに向き合わない人や忘れる人を私は責めようとは思いません。
そして、同じ過ちを繰り返している人や、失敗から学ばない人を見たり、そんな話を聞いたりすると、結局はその人自身が心も身体もボロボロになっていくのが、不憫だなと思います。
それすら感じないのであれば、倫理観や価値観が違いすぎて、分かり合えない人種なんだろうなと思います。

人間、誰しもが多少なりの黒さを持っています。
自分の幸せのために、他人を犠牲にする。
社会ではそういうことがまかり通っているんです。
現実に存在しています。
それは一部の残酷非道な人だけではなく、だれもが持っているんです。
だれかの犠牲の上で、私たちは豊かな生活を送っています。

その黒さを発露してしまうのは、偶然や、ちょっとしたきっかけであったりします。
他者との関わりの中で気付くことが多いと思います。

自分の黒さと向き合うのは辛いことではあります。
今も涙が出ます。

けど、なぜ私はあえてそうするかと言うと、「知ってほしい」から。
自分の黒さを知った上で、それでも白さを求めたいから。
絶対に黒さは消えないとは分かってるんだけど。

日本には、私と同じ黒さを抱える人がたくさんいます。
日本家族計画協会の「第6回男女の生活と意識に関する調査」によると、今でも16歳~49歳の日本女性のおよそ7人に1人の割合(およそ15%の女性)で人工妊娠中絶を経験があると、推計されています。


私の体験を通じて、こんなに中絶は人を苦しめることなんだと知ってほしい。
こんなに重いことなんだと思ってほしい。
そして不本意な選択をすることになる前に、気付いてほしい。
考えてほしい。

本当に自分を大切にすることって何か?
自分の行動によって、大切な人にどんな影響を及ぼすのか?
自分の人生で、どうしたら自分で幸せにできるのか?

その場その場の衝動だけで動くのではなく、ひとつの行動によって、その後、どんな影響があるのか、考えて、自分の予測する未来から自分の今、これからの行動を選択していく。

特に性に関しては、その後の人生や、他人の人生や命にも大きく関わるので、そのことを伝えたいなーと思っています。

言いたいことがまとまったのやら、とっちらかしたのやら分かりませんが、そしてもしかしたら過去にめっちゃ似たようなことを書いているかもしれませんが(そしたらおばあちゃんか!ってつっこんでください。)、今思ったことは、そんなところです。今日は、私の子どもとお別れした日から、6年11ヶ月。
来月で丸7年、8年目を迎えますが、またその時は気持ちが変わっているかもしれません。


そしてピルコンで、一緒に活動をしてくれるメンバーを募集中です!

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