NPO法人 女性医療ネットワーク 2013年度 総会シンポジウム
妊娠・出産できる女性の人生戦略 ~私って産めるの?働けるの?~

のイベントレポート①です。

「女性の生涯と健康 妊娠と人生プランの立て方」
というテーマで、発表者は成育医療センター・母性内科部長の村島温子先生。

女性はその一生、ライフステージによってホルモンとカラダに変化が起こりますが、20-40歳の生殖年齢の女性が目立つ病気として、自己免疫疾患と呼ばれるものがあります。

免疫とは本来病原体などの外敵を退治するためのはたらきですが、時に、この矛先が自分に向かったときに、膠原病や橋本病などの甲状腺の病気が現れることがあり、女性の1割くらいがその性質を持っているそうです。

私の知人でも「膠原病で何をやっても治らず辛かった~あせる」って女性がいらっしゃいました。(結局アロマで克服されてアロマセラピストに道に進まれています^^)

しかも、この自己免疫疾患は、妊娠中や産後は悪化しやすいことがあるそうなんです!
健康診断の多くは生活習慣病をターゲットにしたものだそうですが、このような自己免疫疾患への留意も健康管理には必要なんですね目


妊娠前を前提としたヘルスケアを「プレコンセプションケア」と呼ぶそうです。

「妊娠前からの女性の健康管理が妊娠結果を改善させる」として、プレコンセプションケアは米国2006年、英国2008年開始されました。日本では厚生労働省の管轄なのですが、母子保健課からなぜか生活習慣病対策室に管轄がうつったそうで、まだまだ未成熟な分野だそうです。

「安心して産めるカラダづくりに必要なことは何か?」ということについて、村島先生からはこんなチェック事項をいただきました。

■妊娠前にやっておくこと
・タバコ、アルコール摂取をやめる
 妊娠前に完全に禁煙することで、禁煙に関連した流産、早産や低出生体重時を減らせる

・バランスの良い食事と運動を行い正常な体重を維持する
 肥満・やせともに妊娠にはよくない
 やせていると低体重児が生まれるリスクが高く、低体重児ほど心筋梗塞リスクが高いそうです。
 また逆に肥満だと母体の妊娠高血圧、妊娠糖尿病の危険性が増します。

・葉酸をとる

 葉酸は細胞の成長に不可欠なホルモン

・性感染症のチェックと必要なワクチン接種
  - 風疹ウイルスワクチン(1979-87年生まれの女性はワクチン接種していない可能性有り)
  - HIV,性感染症(クラミジア、淋菌) 

・がんのチェック
 子宮頸がん、乳がん

・生活習慣病

女性と生活習慣病について、「妊娠中生活習慣病のリスクが上がる。女性において妊娠は生涯の健康に対する負荷試験。」と村島先生。
妊娠糖尿病の女性が10年後糖尿病に発展したケース約30%あり、妊娠高血圧になった女性が5年後、高血圧発症になったケースが約20%程あったというデータもあるそうです。

「妊娠前、妊娠中からの生活習慣病のケアをきちんとして、妊娠時期をこれからの健康管理を考えるきっかけにしてほしい。」
と先生。たしかに、生活習慣病って高齢になって罹るイメージですが、妊娠前にケアしておくことで、妊娠中とその後の生涯の健康につながるというわけですね!!



また、妊娠と薬についてもまだまだ誤解が多いそうです!!

花粉症の薬を飲んでいるだけなのに、妊娠を先延ばしにする人や、薬を飲んでいるだけで奇形児が生まれると考える人がいるそうですが、“大いなる誤解”が存在するそうで。

薬が原因の奇形と考えられるケースは、全体の約1%で、もともと、流産、奇形の自然発生率は流産が15%, 奇形が3%だそうです。

医療機関では、「薬を飲んでも飲まなくても奇形になる確率はほとんど変わらない」と説明するそうですが、「薬を飲んでいたから・・・」という理由で中絶をしてしまう人も多いのだとか・・・。
まぁその前にきちんと避妊・妊娠の知識もつけてほしいとも思いますが><

「けどどの薬をどれだけ飲んだかでどのくらい影響がでるのか心配!!」「自己判断できない!!」という人はご安心ください!「妊娠と薬情報センター」というありがたい組織があり、妊娠・授乳中の薬剤使用の安全性に関する適切な情報提供をしています。

「妊娠と薬」で検索すると出てきますので、是非お友達にも広めてください~!


女性の生涯と健康という視点では、若いうちに妊娠するのが第一ですが、妊娠中に何らかのトラブルがあった場合、将来の反省として生かし、出産後も定期的な検診を受け、生活習慣に気をつけていくことで、将来の生活習慣病の発病を遅らせることができる、と先生。


将来子供を産みたいという若い世代へのプレコンセプションケアの考えを広めることで、妊娠・出産後も元気な女性が増える!ということですね!!

皆さんも気をつけてみてくださいー!