9月17日、秋の連休の最終日に第3回Re:Programを開催しました!
今回は11名という小規模の集まりとなりましたが、
半分はリピーター、もう半分は初めてのご参加の方ということで、
Re:Programに興味を持っていただき、ご参加くださった方は総勢30名を超えました~!
わーちょっとずつやけど増えとる~★

今回のコンテンツとしては、Link-Rの柳田さんから、「そうだったのか!リプロヘルス」と
題して、本会の軸にもなっている「リプロダクティブヘルス&ライツ」の基本と歴史に
ついてお話いただきました。
その後ピルコンの染矢より「みんな知りたいピルのおはなし」として、
ピルって何??ってところから、メカニズム、副効用・副作用、ユーザーの声、こんな人に
おすすめ、飲み方・入手方法などなどお話させていただき、その後は参加者で2つのグループを
作って、「これからの性教育」をディスカッションテーマに3つの提言をまとめました!

参加者の方からは
「リプロの歴史から現代までの流れ、ポイントが分かりやすく勉強になった

ピルを治療・予防薬としてとらえていて、内膜症についてのデータが知れてよかった」
「リプロダクティブヘルスだけでなくセクシャルライツの話も聞けて良かったです。
ピルの話もディスカッションも勉強になりましたし、さらに興味がわきました。」
「性に関して、今まで話し合ったことがなかったので、皆さんの意見をきけて、勉強になりました。ディスカッションよかったです。」
「とても勉強になった。すべてが興味深く聞けました。」
「とてもよかったです。初心を思い出しました。性の健康に関わる活動をしている人がたくさんいることがほんとに心強いです。」
などなどの感想をいただきました!皆さんありがとうございます!

では、「今回は来れなかった!」「一体どんな話をしたの??」という方のために、講演の内容をダイジェストでまとめていきますね。

●そうだったのか!リプロヘルス(Link-R 柳田正芳氏)
$あすかのLIVE LOVE LAUGH!!

リプロダクティブヘルスという壮大なテーマについて、とてもわかりやすく、かみ砕いてお話いただきました。
現在世界には約70億人もの人口がいますが、その中で25歳以下の若者はおよそ43%!そして
妊娠・出産で命を落とす女性は50万人もいます。その99%が開発途上国の人だそうです。

リプロダクティブヘルス・ライツとは、性と生殖の健康と権利、という意味で、
女性・子供の立場からも安全と健康を求める考え方、
そしてそれを実現させるための人権がある、という考え方になります。
健康とは、肉体的・精神的・社会的に見て完全に良好な状態。
権利とは、正しいこと。人間が持つ当然の要求をさします。
健康は権利の上になりたつことなので、健康と権利はセットになるそうです。

けど、「正しいことって文化的に何を正しいとするか違ってくるんじゃないか?」と考えますよね。
日本にいると当たり前のことでも、世界的には考えないといけないことはたくさなります。
たとえば、若年結婚と産科的フィスチュラ(身体的に成熟していない段階での出産により、生殖器や肛門が
傷つき、生涯にわたって排泄障害を患ってしまうこと)、性器切除などなど。
1994年に開催された第3回国際人口開発会議にて、マクロ統計よりも個人の意志・権利を尊重しようという
考え方からリプロダクティブヘルス・ライツが提唱されるようになったそうです。
そう考えると、まだ比較的新しい考え方なんですね。

そしてリプロダクティブヘルスとセクシュアルヘルスってどう違うの?って話。
性の構成要素として、1)生物学的性、2)性自認、3)性的指向、4)性役割の4つの要素があります。
(性的指向と恋愛対象かどうかは分かれるんじゃないかと個人的には思いますが、一般的には、ということで。)

リプロヘルスは生殖に関わること、つまり男女の関係が前提となってきます。

リプロダクティブヘルス・ライツをまとめると、
・身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態
 ※社会的にというのは、人間関係の上で、と解釈するとわかりやすいと柳田さん。
・安全で満ち足りた性生活と生殖能力
・自己決定(自主的な家族計画)

一方、セクシュアリティ(個人の性のあり方)の多様性が当然に認められることは基本的人権であって、
⇒セクシュアル・ライツ(性の権利)セクシュアルヘルスについては性の健康全般となるので、
より包括的な概念になる、と2005年のモントリオール宣言(WAS総会)にて国際的に合意されているそう。

ただしRe:Programでは、生殖やヘテロ前提にとらわれないスタンスでやっていきます!

そしてリプロヘルスがかかわる分野としては、
生涯にわたる性の健康
思春期保健
若者支援
母子保健
更年期
障碍者の性
女性医療・女性保健
疾患啓発(エイズ、子宮頸がんなど)
ジェンダー系(女性支援、男性支援)
CSW(コマーシャルセックスワーカー)の権利擁護
LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー)の権利擁護
などなど多岐にわたります。
そう考えても、それぞれの取組みを理解し、社会問題に対して
協働しながら解決を実現していくことが必要と思いました。

多分一人で勉強しようと思ったら、30分で挫折しそうな内容を1時間の講演で
分かりやすく解説していただいてものすごく勉強になりました~★


●みんな知りたいピルの話(ピルコン代表 染矢明日香)
$あすかのLIVE LOVE LAUGH!!

私の方からは女子力アップ朝活でやっている内容をダイジェストで30分でプレゼンしました。
妊娠・月経の仕組みとホルモンの関係をおさらいして、低用量ピルの避妊のメカニズムの話、
副効用として、確実な避妊以外にも、月経痛の緩和、月経不順、月経過多の改善にも効果があり、
月経日調整などで生活改善にもつながるという話、副作用にまつわる誤解と実際のピルユーザーの声なども
お話させていただきました。
実際に私の飲んでいるトリキュラーという低用量ピルを会場にまわしたところ
「初めてみた!」との声も。

また、昔の女性のライフスタイルでは、排卵・月経が一生で50回くらいだったのが、現代女性はなんとその9倍の450回!
その分卵巣や子宮に負担をかけていて、さらには女性の社会進出でストレスがかかったり、晩婚化で初産の年齢が
上がっていることも要因となって子宮内膜症や子宮筋腫、卵巣がんのリスクが上がっています。「ピルは排卵を人口的に
とめてカラダに悪くないの?」と誤解されがちだけど、実は現代女性が自然のままにしていると負ってしまうリスクを
低用量ピルは予防・改善してくれる薬と紹介。
月経のある女性の10人に1人が悩むと言われる子宮内膜症は将来的に不妊につながる可能性があり、
その治療・予防としても低用量ピルは効果的と思春期学会で仕入れた情報をシェアしました。

また、避妊はコンドームで十分なのでは?と思われがちですが、コンドームの失敗率は年間3-14%にもおよび、
コンドームでの避妊の失敗で中絶する女性も少なくないという話も。(ある調査では、中絶女性の約半数がコンドームで
避妊をしていた、という報告もあります。)女性が主体的に、しかも確実に避妊できる方法として低用量ピルがあります。
そしてもし避妊に失敗した場合は緊急避妊ピルをぜひ利用してと紹介。

もともと月経がそんなに重い方ではなかった私も低用量ピルですごく楽になった!低用量ピルは妊娠や月経の不安から
解放してくれる薬とまとめ、「初めてピルの話を聞けてよかった!」という声もいただきました。
ありがとうございます★


●ディスカッション「これからの性教育」
今回は参加者全員でディスカッションのコンテンツも取り入れました。
WASの円卓会議の取組がすごく満足度が高かったと思い、また性の健康に関わる団体・個人の方に
自分の意見を発信して、提言をまとめていくおもしろさを実感していただければと思い、
今回は「これからの性教育」をテーマに提言を3つまとめようというお題で進めました。
$あすかのLIVE LOVE LAUGH!!

2つのグループに分かれて、アツいディスカッションが交わされました!
それぞれ発表していただいた提言はこんな感じでした!

$あすかのLIVE LOVE LAUGH!!
【チームA】
・家庭で親が子供にする性教育をもっと広める!
 - 命の大切さ、性とどう関わっていくべきかを伝え、子供を加害者・被害者にしない教育
・ツールを工夫する!
 - 視覚的な効果は大事!
・相手の性を理解する!
 - 男女別で自分の性別だけではなく、異性のことも学ぶ

【チームB】
・相手を思いやるコミュニケーションを義務教育に組み込む!
・海外の性教育の成功事例を積極的に取り入れる!
 - 例:北欧の性教育では男の子が女性器を、女の子が男性器について調べ学習をして、それをお互いにプレゼンするという授業もある
・ライフステージをおった、知識、情報提供をする!
 - 発達段階に応じたメッセージや伝え方を研究する

やっぱり思うのは、家庭での教育、学校での教育、両方大事。
そして男性・女性両方がかかわる問題だから、どちらかの性だけではなく、
どちらの性も自分自身、そして違う性に対して理解することが大事だなと思いました。

そして、提言からぜひ実行に移したい!!!
ここが性教育の世界には足りていないところだと思う。
たくさん研究費や人をつぎ込んで研究をして、問題点が分かっておしまい。
じゃなくて、提言から実践とブラッシュアップをして、みんなでどんどん成功事例をつくっていって、さらにそれを広めていきたいと思います。

その台風の目にRe:Programを育てていきたいと思いつつ、第3回無事終了しました★
また次回は12月に開催予定です!^^

※9/22修正:「恋愛や性的欲求の対象が何に向かうか」という概念のことを「性的志向」と書いていましたが、正しくは「性的指向」です。