今回は“人間と性”教育研究協議会 第26回理論と実践講座のポイントまとめをお届けしようと思います!
私の私見も最後ぶっこんでいきます!

講座①は埼玉大学の田代先生による『教科書の基礎知識~日本の特徴と問題点~』
日本の教科書ってどうできているか知っていますか?

そもそも教育と教育行政は日本国憲法第23条の学問の自由という民主主義的な視点から、区別しなければならないそうです。
教育は自由に探求すべきもので、法律や命令に基づいて一律実施される行政活動とは同じに扱えないからだそうです。

その一方で、日本の教科書制度はその点と矛盾する点が多い!と田代先生は指摘します。
教科書検定
民間で著作・編集された図書について、文部科学大臣が教科書として適切か否かを審査し、これに合格したものを教科書として使用することを認めることです。
しかしこれには問題点が!
まずはその分野の専門家ではなく、現場経験のない国家公務員のお役人さんが調査官を務めること。
そして検定で修正の指示があると、35日以内に修正をしなければならないのですが、指摘事項の説明を十分に得られず、結局反論や調整ができず、丸々言われるまま修正や、自主規制をせざるを得ない状況になってしまうこともあると言います。
これは「教育行政を逸脱した口出しでは?」という意見もあるそうです。

②教科書採択:
現在日本の教科書採択は教育委員会にあるそうです。(国・私立は校長先生)
しかし、実際に教科書を使う教師が教科書を選べず、学校、子供、地域の実情が反映できない状況があります。
また、採択理由も非公開で、内容よりも営業力による採択が行われ、コストダウンの要求にこたえられる大手のところの寡占化が進んでいるという指摘もあると田代先生。

一方で、教科書採択に教員の意見がもっと反映されるよう改善することが閣議決定しています!しかし、それに向けた具体的な動きは見られていないそうです、

③教科書に基づいた授業:
学校教育法では、教科書を授業で使う義務があると定められており、実際日本では諸外国に比較して、教科書を使う利用率が高いです。
検定や採択が厳密に行われる教科書の一方で、副教材は検定をせずに使用が可能という矛盾があります。
実質授業で教科書を使用するか否かは教師の裁量にゆだねられており、教師がうまく「教科書でを教える」から、「教科書で(も)教える」姿勢が大事と田代先生はおっしゃっていました。

うっすーい生活科や保健の教科書!!!
$あすかのLive Love Laugh!!

たとえば性教育でいうと、2次性徴について取り上げられているのもほんのわずか。
「間違ったことはないけれど、不十分」という指摘がぴったりです。
生物では、受精を教えても、それに至る過程は扱ってはいけないというきまりがあったり、コンドームは中学で教えてはいけないとあったり、受精は扱っても、子宮がどのようにつながっているか分からない、入り口・出口が分からない挿絵だったり・・・。先生もどう教えるべきか困惑がある・・・
といったような内容でした。

一社会人として、率直な意見として思ったのは、教科書をうまく活用しながらも、教師の教えたいことをきちんと伝えていこうというのは理想ではあるけれど、それを先生個人の手にゆだねてしまうのも、その先生の能力や経験によって差が出てしまうのではないかなと思いました。
教科書を作る側(大学の先生などが多いようですが)が現場の意見をどのくらい取り入れられているか分からんし。。
となると、現場の教師有志による副教材を充実させよう作戦でいくしかないのかなーと思ったり。それでも、教師個人の裁量にゆだねられて、志の高い一部の人はめっちゃがんばるけど、そうじゃない人は教科書読んでおしまい。になる気もしますが、本来ならば、教育行政と教育が一体となって真摯に取り組むべきなんだと思いますけどね。性教育も。

何気なく使ってた教科書だけど、こんな背景があるとは、知らんかったー