『タップダンスへの情熱だけで成り立っている』 77点
TVシリーズ『相棒』の杉下右京役: 水谷豊が長年の思いを胸に本作で監督デビュー。自らも主演を務めています。
天才タップダンサー: 渡(わたり)は過去の事故で脚を怪我し再起不能となってからは酒に溺れる日々を過ごしていた。そこに現役時の渡を重用してきた劇場の支配人: 毛利がやって来て「ウチの劇場を閉めるから、最後にタップダンスのショーの演出をしてくれ」とお願いする。渋々引き受けた渡だったが、様々な事情を抱えながらもタップで世界に羽ばたきたい若手が集まり、次第に若手に己のタップへの思いを託そうと決意する・・・てな感じです。
正直言って映画の作りとしては普通・・・というよか凡やと思います。話題に上がり、どんな感じなんやろと思いました。しかしよくありそうな展開で事は進むし、役者もタップを踏める人を集めたからか演技も(上手い人も確かにいたが)そこそこかな、ていうのが正直な意見です。水谷豊も役柄上落ちぶれた感じの演技が必要やったんでしょうが、「・・・」な感じです。てか彼の落ちぶれ感は想像できないだけに違和感が前に出てきただけかもしれませんが。しかし岸部一徳、さすがの安定感。脇役やのにしっかり銀幕に映えてます。
ほんでも、この映画の凄いところはタップに対する熱量の高さやと思います。つまり
タップに対する情熱です。
タップシーンはほぼ全て見せ場!しかし、それを情熱が支えていると思っても仕方のないくらい、情熱を感じました。特にラストのタップダンスショーは見応え十分。てかこのシーンの為に映画を作ったんでしょうか?てな勢いです。監督まで務めたんですから水谷豊には本作に相当な意気込みがあったんでしょうね。タップダンスが絡むシーンでは今までの落ちぶれ感はどこに?てな具合に気迫のこもった演技をしてました。かなり様になってて良かった思います。水谷扮する渡の意気込みがこの映画に掛けた思いを代弁するかのようでした。
ある意味タップダンスへの情熱だけで成り立っている本作。それでも中々の出来やと思いました。
(原題)TAP The Last Show
(製作国)日本
(上映時間)133分
(監督)水谷豊
(脚本)両沢和幸
(主な出演)水谷豊、清水夏生、北乃きい、岸部一徳