今シーズンは明らかに雪不足だった。いや、降っても積もってもすぐに融けてしまうのだろう
豪雪地帯であるはずの村は正月に訪れた時よりも雪が無くてある意味殺風景に思えた
雪解けの季節にはまだ早いのだがこれも大自然の中に生きる村のありのままの姿だった
この日はライトアップイベントが催されるからインバウンドの旅行客も多く訪れていた
村中いたるところに外国語が飛び交っていて日本語を話す事の方が場違いの感さえ漂った
村の運営スタッフも日本人だけでなく多言語を話せる外国人スタッフが多く雇われていて、
世界文化遺産の観光地である事とはどういう事なのかを思い知らされた
雪が少なくても外国人は十分に楽しんでいたように思う
そしてこの村を訪れる彼らの立ち居振る舞いやマナーも年々向上してきているように感じた
行列には静かに並ぶし滑って転んだ人には他人であっても駆け寄って助ける
むしろ日本人の方が粗野な言動が目立った印象だった
「今年は雪が少なくてダメだ」とか「写真の邪魔になるから早く退け」とか言い放つ
三脚禁止の場所でスタッフの注意を無視したり隠れて使ったりする
子どもをヒステリックに叱り飛ばしたりする
そんな日本人の心無い言動は外国人からも眉をひそめられる恥ずべき事だ
ここは明らかに日本の原風景を残した日本の国土の一部分だけれど、
その実情は国際的に価値のある観光地であり、もはや日本人の存在などその他大勢と変わらぬ
合掌造りの村はその姿こそ同じだけれどその在り方は年々変革が進んでいて、
この時代に世界を相手に生きてゆく事の意味合いが示されているようにも感じられた
豪雪の村はもう、過去には戻れないのだ
ライトアップイベントはつい何年か前までとは様相が異なるイベントになってしまった
変わる事の大切さとそれを分かっていながら素直に受け入れられないもどかしさ…
どこか複雑でさみしい気分になったのは雪不足の村の景観のせいばかりではない
撮影地:岐阜県大野郡白川村 第33回白川郷ライトアップ(2019年2月17日)