旧外国人居留地に着いたのは点灯予定時刻の1時間ほど前だった
会場となる通りにはすでに大勢の人々が詰めかけ寒さに耐えながらその瞬間を待ちわびていた
この時ばかりは誰もが1分1秒でも早く日が暮れて暗くなることを望んでいた
宵が来て煌めきが強まっていくのと比例して通りを行く人波の激しさも増していった
怒濤に押し流されながら光と色彩のつくり出す幻想に溺れていく
美しいガレリアに居るとこの荘厳な世界がどこまでも続いているように思えた
旧居留地の普段の街並は魔法にかけられて光彩の世界へと生まれ変わった
光の回廊に誘われて行き着いた先には光の国があった
何もかもが壮麗で見惚れていた。見るもの全てが綺麗で心が震えていた
友人同志、恋人たち、子ども連れ、老夫婦。それぞれが抱いた想いの色は何色だったんだろう
何年か振りに訪れたルミナリエ
震災後だけれどもこの街で暮らしていた頃の記憶もよみがえらせてくれた
ウィンターイルミネーションとしてあまりに有名で魅惑的な神戸ルミナリエだが
阪神淡路大震災の犠牲者鎮魂と神戸の復興という「祈り」の行事である
震災を知らない世代にはインスタ映えのためのイベントだと思われてもいる
それでもこの街を愛する人々は刻の記憶を語り継ぎ、この街に希望の光を灯し続けるのだ
撮影地:兵庫県神戸市 「神戸ルミナリエ」