『シン・仮面ライダー』
庵野秀明監督
私自身は仮面ライダーに夢中になった事はなく、息子三人の子育てに奮闘している時に出会った、ベビーシッターのような、頼りにしていた番組だった。
その間だけは私が息抜きできて、
何をするワケでもなく、ただボーッとできることが至福の時間だった。
長男は〈仮面ライダー龍騎/仮面ライダー555/仮面ライダー響鬼〉
次男は〈仮面ライダーダブル〉
三男は〈仮面ライダー鎧武〉
そのたびに模造紙を買っては貼り合わせ、ベストのように着られるようにし、ボディはカラフルな油性ペンを使って描き、ライダーの顔も画用紙に描き、切り抜き、冠のようにかぶせるように仕上げた。
兄弟間で繰り広げる決めポーズ合戦は、おかしいのなんの。しまいにはケンカに発展するからなお可笑しく可愛かった。
ヒーローショーに出掛けた時は、負けそうになるライダーに懸命に声援を送り、お菓子を食べてる手も止まり、目には不安の色。
見終わったあとのキラキラした瞳はしっかり魔法にかかっていた。
ショーの後の記念撮影では、緊張で顔が強張る次男と急に怖くなり大声で泣き叫ぶ三男を前に、ライダーがおどけてあやす姿が写真に残っている。
あの天下のヒーローがあたふたして、すっかりライダーであることを忘れているのだから、これは貴重な一枚だと大切に保管している。
お母さん歴24年の、それも一時期、息子と夢中になっただけの私でも『シン・仮面ライダー』は観に行って良かったと思っている。
懐かしさと新しさ。
映画館に足を運んだからこそ見ることができる映像技術の進化と『シン・仮面ライダー』の深化を堪能できて最高の時間を過ごせた。
カッコいい映画だった。