※ネタバレあり
『LAMB/ラム』
ヴァルディマル・ヨハンソン監督作品
アイルランドの雄大な地で暮らす羊飼いの夫婦・イングヴァルとマリア。
寒風吹きすさぶなか黙々とトラクターを操る。
変わり映えしない衣服に、つましい生活を続けていることを想像させる。
凍てつく夜に一匹の羊が仔を出産する。その姿はなんと羊と人間のあいの子だった。
驚愕しつつもその事実を受け入れ、育て始める夫婦。
その子"アダ"との幸せな時間。
家族としての絆が深まったころ、それは突如現れる。ヤツは夫を倒し、アダを連れ去っていく。
エンドロールを眺めながら想像した。ヤツがアダを連れて行ったのは、夫婦が憎かったからなのか。
夫婦は過去に実の子を亡くしている。だから例え羊の仔だとしても、アダは神からの授かりものと信じ大切に育てた。
そんななか終盤に二人は体を重ねる。
もしかしたらマリアは夫との間に新しい命を授かったのではないか。
本人が自覚するよりも早く、ヤツはそれをキャッチした。
人間の子が生まれれば夫婦は正気に戻り、アダを邪険に扱う危険性が出てくる。
そんな悲劇が起こる前にヤツは時空を超え、アダを救いに来たのではないか。
てなことをあれこれ想像させてくれるこの映画。
最高。