猪崎宣昭監督による日本のサスペンス映画。出演は宮本信子、前田吟、大滝秀治。
<あらすじ>
主婦・山根優子は夫剛史、一人息子の真と3人で郊外の一軒家で平穏な日々を送っていた。そんなある日、優子は剛史に愛人の北沢亜希を殺したと打ち明けられた。優子は家庭の平和を守るために死体を隠そうと決意。独居老人の家の裏庭に隠そうと決意し亜希の死体を埋める。
死体遺棄に手を貸してしまい、気もそぞろのところに、剛史はくだらない死んだ愛人を巡る嫉妬心から、彼女と交際していた役場の部下を殺してしまう。屋上から投げ捨てたために、すぐさま警察がやってきた。
完全に気がおかしくなった剛史は、優子すら暴力を振るうようになってしまった。血まみれで警察に自首した剛史だったが、掘れども掘れども死体は出てこない。警察は剛史の心神喪失を疑う。それに合わせるように、優子もウソの証言をする。
北沢亜希の死体は、優子が世話をしている少し頭のボケた老紳士に手伝ってもらい、自宅の庭に埋め代えたのだった。それを知った剛史は発狂して家を飛び出した。そんな彼を、老紳士が轢き殺す。
優子は、夫が愛人に充てた絵葉書の文面が、自分がかつて貰った絵葉書の文面と同じであったことに腹を立て、嫉妬していたのだった。
<雑感>
1996年の火曜サスペンス劇場を視聴。これが意外に面白い内容だった。もちろん映画クオリティとは程遠いが、優子の複雑な心情が上手く描かれている。
彼女は庭づくりに勤しむ家庭人で、その日常を捨てたくない。夫が学生だったころに貰った絵葉書の情熱を忘れたくない。子育てしている日常を失いたくない。
ところが、庭には害虫が湧いて花々を枯らしていく。夫は外に愛人を作りかつて自分に送ったラブレターと同じ文面を使い回す。子供は成長してもうすぐ自立する。
こうしたことが彼女の喪失感を焦燥に替え、害虫を駆除し、夫を殺し、子供に無関心になる。個の心情の変化の描き方が上手かった。
☆3.2。剛史役は前田吟、優子役は宮本信子、老紳士役は大滝秀治。みんな上手いなぁ。















