愉快な音楽にファンファーレ
テラスから見下ろすと滑稽な頭をした人達がリズムに合わせて行進をしている
動物みたいだったり動物にも見えなかったり
きっちりとした歩幅、高々と上げる足
ドラムがトランペットの音が高らかと鳴り響く
思わず一緒に踊りたくなる音楽に、道化は小刻みにリズムを取るとなんの躊躇も無しに飛び降りた
行進するパレードを縫うようにスキップしていく
器用な事に誰にもぶつからない
行進にも飽きると再び王宮内へと戻っていく
外がパレードのせいか城内はとても静かだ
徐々に道化の心に孤独感が芽生えてきた頃に大きくて立派な扉が目に入る
思い扉からゆっくり中を除き混む
誰もいない代わりに奥で金色に輝くものが目に入る
一目散に駆けていく
立派な椅子に座っていたのは、どんな暗い所でも輝きを失わない王冠
其れを右から左から手に取って眺めると頭の上に乗っけてみる
道化の小さな頭には少し大きめなのに何処かしっくりときて 手を離しても落ちることは無かった
楽しくなって 王冠を着けたまま部屋を探検する小さな道化
このまま誰かに見せびらかしたい衝動をうずうずとさせながら
唯一見える口元で満面の笑みを作った
ふと壁に高級そうな鏡に目が行く
其処には王冠を被った己の姿
動き回って少しだけくたびれたワンピースに口以外を隠したお面
ぼさっとした髪に金色の王冠
道化の口元からふいに笑顔が消えた





