東野圭吾の「天空の蜂」を読んだ。


天空の蜂 (講談社文庫)/講談社

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あらすじは、


超大型特殊ヘリコプターが盗まれ

爆薬を積んだ状態で、


稼働中の原子力発電所の真上を遠隔操作の

自動操縦でホバリング(空中停止)している。

原発へ落下させると脅迫するテロリストとの

駆け引きは・・・。


そして

誤ってそのヘリコプターに一人乗ってしまった

子供の命は助けだせるのか・・・。

というような内容。

* * * * * * *

この本を買ったのは一年以上も前なんですが、

好きな東野作品なのに読むことが出来ませんでした。


というのも

まさに読もうと思った日に、3/11の震災が起こったから。



地震が発生した時は会社におり、

仕事を残して帰宅しようとしたものの

電車が止まっており、帰れませんでした。


歩いて帰れるような距離ではないので

一旦会社に戻り、電車が動くまで待つ事にしました。


ところが、地震の影響でオフィスが水浸しになり

漏電の為、停電してしまいました。


修理を依頼したものの、道路は混んでいるし

結局その日はなおりませんでした。



さすがに真っ暗でエアコンもつかないオフィスに

いる事が出来ず、

ビルの共有会議室で一人で待機する事にしました。


で、そんな中で読み始めたのがこの本。



その時は、最初の揺れがあってから3~4時間しか

経っていなかったので原発のニュースは

まだ出ていなかったと思います。津波の事ばかりで。


数ページ読んでみたものの

全然読む気になれませんでした。



そうして、その後は福島の原発のニュースが続き

この本の表紙をみるのもウンザリしていました。




・・・とそんな1年以上を過ごし、

先週、やっとこの本を手に取ってみました。


なんだか、読まない事にはいつまでも

シコリが残ってしまうので。



という経緯がありました。


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さて、本題です。



感想としては、


「いまこのタイミングで読んで良かったなーー。」


ということ。




東野作品は、ガリレオシリーズにも出てくるように

難しい専門知識・用語の説明が

ずらずら書かれている事があります。


「容疑者Xの献身」の数学の四色問題?なんかは

その例です。



そんな感じで、

原発について、軽水炉と高速増殖炉の違い

事故が起きた時の反応などが

分かりやすい形で説明されていました。


また反原発の運動や推進側の意見や事情も

書かれていて、


原発行政について考えるきっかけとしては

分かりやすい情報がちりばめられているなと。



そういう意味で、福島の原発事故に対しての

恐怖感が発生当時とは変わってきた

いまのタイミングでこの本を読めた事は良かったと思います。


きっと、去年の今頃読んでいたら

原発とか政府とか、計画停電とかすべて

もっともっと怖かったと思います。


だけど、今は原発を全て停止しているし

計画停電だって経験して

それでも人間生きていけるんだって分かったから

すこし安心して読むことが出来ました。



原発に対しての知識をほんの少しでも得るために

この本を読むというのもアリだと思います。




あ、あと

東野作品らしく、犯人を最後まで憎み切れない所が

いつもながらズルイなぁ~と思ってしまいました(笑)



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