3月1日は赤楚衛二さんの27歳のお誕生日ですね。

おめでとうございますお祝いケーキ

赤楚さんのことは「チェリまほ」で初めて知りましたが、仮面ライダー等にも出演され日頃は男らしい赤楚さんが、本当に純粋で可愛らしい安達を演じられ(ずっと猫背にして身長すら低く見せているところが凄いです)、最後まで楽しませて頂きました。

これからも魅力的な役者さんとしてご活躍されることを期待しています。

藤沢飛鳥

 

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「君がいる朝」

 

OPテーマ omoinotake 「産声

EDテーマ DEEP SQUAD 「Good Love Your Love

 

ドラマのあらすじは こちら

小説の<目次>は こちら

 

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明け方、外はまだ薄暗く夜明けの青白い光が部屋の中をぼんやりと映し出していた。

 

いつもより少し早い時間にまどろみから目覚めた黒沢は傍らで眠る安達の顔を見つめた。

 

口元を少し半開きにしたその寝顔は、安心しきって眠る幼い子供のように無邪気で清らかだ。

 

―― 今日も可愛いな。僕のエンジェル。

 

朝ごはんを作り始める時間まであと少し。

 

ベッドに横たわったまま、今日も安達の「うんま!」を聞くためにあれこれとメニューを考える。

 

和食好きの安達のためにいつも卵焼きは欠かせないのだが、今朝は、昨日取引先から手土産としてもらった美味しいと評判の食パンがある。

 

―― とりあえずトーストと、ハムエッグ。
       いや、オムレツにするか。
       ケチャップでハートを書いて、
       横に「清」、いや「KIYOSHI」・・・・・・


真剣な顔つきで思案する黒沢の頭に、その時ふと詩が浮かんだ。

 

それは安達へのラブソングだ。

 

 

僕の恋人

          by  黒沢優一

 

 横を見れば君がいる

 恥ずかしがりやの

 僕のエンジェル

 

 君のためのブレックファースト

 君の好みは苺ジャムトースト

 君の好きなミルクはホット

 

 安達とずっと

 幸せ一生

 

 

すると、寝ているはずの安達が突然目を開け、声を立てて笑い出した。

 

「アハハ、何だよ、そのポエム」

 

「え、起きてたの? って言うか、心の声聞こえなくなったんじゃ ・・・・・・」

 

なぜわかったんだろう。

 

初めて結ばれたクリスマスイブの日から魔法の力はなくなったと言っていたのに ・・・・・・。

 

慌てふためいて狼狽する黒沢に、安達は笑いながら言葉を返した。

 

「や、今、声出てたから。めちゃめちゃつぶやいてたから」

 

「え、ホントに?」

 

「うん」

 

安達がぐっすり眠っていると思ってつい油断してしまった。

 

いかにも可笑しそうに安達がクスクスと笑い続けている。

 

「もう恥ずかしいなぁ。やめてよ、笑うの」

 

「無理だって」

 

会社での黒沢は誰もが認めるイケメンで、営業成績も常にトップ。

 

女子社員だけでなく、男性社員や上司からも一目置かれる存在だ。

 

いつも堂々として、まぶしいくらいに輝いている黒沢が、安達と二人でいるときは女子高生のように子供っぽくて、素直に愛情を表現してくれるところも可愛らしい。

 

そんな姿を見ることができるのは自分だけだと思うとなんだかこそばゆい。

 

可笑しさと照れ臭さで笑いを止められず、安達はくるりと背を向けた。

 

「もう! なんだよ」

 

恥ずかしさを誤魔化すように背後から抱きしめると、黒沢の腕の中でひとしきり笑った安達が柔らかく溜息を吐いた。

 

「でも、誰かに愛されたり誰かを愛したりするのって幸せだよな」

 

自分の体を包み込む黒沢の両腕にそっと手を添える。

 

男同士で愛し合うことはいわゆる「普通」ではないのかもしれない。

 

けれど今、黒沢に抱きしめられそのぬくもりを感じていられることは何にも代えがたい幸福だ。

 

「うん」

 

安達の言葉はそのまま自分の気持ちだ。

心の内に秘めたままの恋だと、決して報われることのない恋だと、ずっとずっと思ってきた。

今でも時々、朝、目覚めた瞬間、腕の中に安達がいることが夢ではないかと感じることさえある。

告白した時もその後も、安達の口から「男同士だから」「非常識だ」、そんな世間でよく言われる否定の言葉を一度も聞いたことがない。

ただ一人の人間として黒沢の思いを受け止めてくれたことが嬉しかった。

好きになった相手が安達で良かったと心から思う。

 

深くうなずく黒沢に顔だけ振り返った安達が少し不満げに頬を膨らませた。

 

「あ、けどさぁ、俺が好きなのってミルクじゃなくてミルク入りのホットコーヒーだから」

 

「あ、そうだっけ?」

 

「そうだよ」

 

そんなことはもちろんわかっている。

 

好きな食べ物から趣味嗜好にいたるまで、安達に関することは何年も前からリサーチ済みだ。

 

だが黒沢はとぼけた口調で言葉を続けた。

 

「なんか清にはミルクが似合う気がすんだよな」

 

「はあ? なんだよ、それ」

 

ふいの子ども扱いに口を尖らせた安達は体ごと向き直ると黒沢の胸をこぶしでポカポカと叩いた。

 

「ハハ。ごめん、ごめん」

 

謝りの言葉を口にしながら黒沢が両手で防戦する。

 

じゃれ合ううち、互いの息がかかるほど顔が近づいた。

そのまま引かれ合うように唇を重ねる二人に、朝の白い光が柔らかく降り注いでいた。

 

 

 

 

 

ドキドキおしまいドキドキ