書店さんも漫然と本を並べているわけではありません。

そこには色々な都合とルールと想いがあります。

 

【超売れる本】

言わずもがな、超ベストセラーです。陳列に工夫を凝らさなくてもお客さんの方からどんどん手が出て、在庫があっという間になくなる本です。『鬼滅の刃』や村上春樹氏の新刊とかです。

だいたい、需要に対して供給が少ないことが多いです。初版も数十万~100万部以上です。

 

【売れる本】

棚前で1週間で3冊以上売れる本は売れる本です。いわゆる、ヒット本です。

エンド台なら5冊。レジ前なら10冊以上です。おおよそです。

ただし、中には棚刺しで月1冊以上売れる本もあります。法律関係書です。売れる本です。

※書店の棚名称についてはまた別に解説します。

 

【売るべき本】

売れるかどうかは別に、「いま、話題のこの本を読んほしい」という、

書店さんのメッセージが込められています。

SDGsだったり、DX、平和と戦争など社会問題の場合もあります。

障害を抱えた方が書いた本は純粋ゆえに私などは心が洗われます。

もうひとつ。

本部や店長が出版社と契約してある条件設定がついた本です。売らねば本です。

報奨つきだったり表彰キャンペーンだったりします。

春先に『小学1年生』の売り場で手作りドラえもんの飾りつけを見たことありませんか?

どこの書店さんも手作りで競っています。

 

以上ここまでが、「売れる」本です。

 

【売りたい本】

紀伊國屋書店 玉川高島屋店様で本書はチェーン内1位

 

書店さんの生き甲斐です。同時に営業マンにとっては天の声です。

出版営業は日々書店に通い、内容を何度も確認して本の売りを懸命に説明します。

そうして、

 

「この本、内容すごくいいですね!わたし、売りたいです!!」

 

という声が聞けたとき、天に昇る思い。半分売れたも同然だからです。

それどころか、その本に関しては全国上位になるほど売られます。

ご担当者が「売りたい本」というのは、「私が売る!」と宣言している本なのです。

「売る」と「売れる」では天地の差があります。

店員さんの「売りたい」という気持ちはお客さんに届きます。

 

この声を聴きたいから雨が降っても雪が降っても毎日書店に通うのです。

でもこれって他のお仕事でも言えることではないでしょうか?