2月9日に「賢者の薔薇園」の記事で書きましたが、錬金術師たちは化学的な発見を暗号を使って秘匿しました。

    錬金術師たちの寓意はとても興味深いのですが、今回は錬金術関連の象徴の内、特に有名な「太陽を食らう緑の獅子」について書きたいと思います。



    上記の絵をご覧ください。
題名の通りに太陽が緑の獅子に食われています。錬金術では太陽は「黄金」を意味しており、緑の獅子は「酸」を表しています。つまり、これは「黄金を酸によって溶かしている」となります。
(また、これは賢者の石の錬成過程を示している寓意画とも言われています。)

    錬金術は現代化学を生む為に重要な働きをしています。黄金を溶かすことができる酸は「王水」(aqua regia)ですが、これはイスラムの錬金術師、アブ・ムサ・ジャービル・イブン=ハイヤーンが発見しました。

     彼は王水以外にも塩酸や硝酸やクエン酸等々を発見し、蒸留装置(アランビック)を生み出し、現代でも使用されています。

    3月8日の「パラケルスス」の記事でも触れましたが、錬金術師たちは化学に多大な貢献をしてきました。錬金術は非科学的なものもありますが、化学的なものでもあります。簡単に切って離すことができないくらい深く複雑に関連しているのです。