六月から水泳が始まるのだそうです。

六月からか…。

私の時はどうだったかな。

六月に始まっていた気もしますが、

とにかく寒かったという記憶しか

ありませんが…。

小学校の水泳はビーチサンダルが

必要なのだそうで、

ラッシュガードも着用可能なのだそうです。

漁獲量が年々減少しているのを聞いても、

そうしたラッシュガードやサンダルが

必要なのも、

ぜんぶ温暖化のせいなんだろうなと思い、

改めてどないかせんといかんとか

考えるのでした。

 

でも、今は靴のクリーナーの話ですわ。

 

池に落ちて泥まみれの靴を持ち帰った娘六歳。

泥汚れは洗濯洗剤では落ちません。

でも靴クリーナーもなくなっちゃった。

買いにいこうっ!

と連れて出たのに、

四軒回っても売ってないのです。

スタッフさんに聞いたら

「ここいら一帯でおかなくなりました、

 一年位前から」

と言われてしまった、現在。

 

 

二軒目になかったところで

「これはもしや…」

という私の予想は的中でした。

思いながらも気づかないふりをしていましたが、

気づかないふりをしている感じが

胸中にある時は、

たいていその予感は的中していることを

人生そろそろ良い年まで生きているので

自覚した方がいいぞ私。

など思いながらでしたが、

とりあえず己を責めたところで

なにも事態は好転しないのです。

こういう時はどうするの?

こういう時はどうしよう?

こういう時は……

「ここいら一帯では」と

わざわざ言ってくれたスタッフさん。

つまり、クリーナーの有用性を感じている方。

それならば、この人は同じように

探したことがある人なんだわ。

そんで一年前から売らなくなったという事実を

この人は一年前から知っている。

 

つまりは、わたしには無い

「一年間靴クリーナーがない時間」を

この人はしっかり抱きながら生きている。

そして何かしら対処しようとされていた

可能性が高いっ。

 

なので、品出し中のそのスタッフさんに

声を掛けました。

 

「あの」

「はい?」

「ご存じならば教えていただきたいのですが」

「はい?」

「生活の知恵として、

 靴クリーナーがない場合

 代用できるものをご存じないですか?」

 

その方、年齢で言えば私より少し上の女性でしたが

後ろでふてくされる娘六歳と

私の様子を交互にみてすべて理解された様子で。

 

「泥汚れを落とすのに

 代用として使えるのはウタマロですよ」

と自らそこまで言って教えてくださいました。

 

ウタマロ。

 

 

知ってるし、使ったこともある。

でも、なんででしょうかね。

幼少時に店頭に並ぶウタマロ石鹸を見て

「なにこれ色こわい」

と思ったのと、

一時期

あまり見かけなくなったところで、

十年ほど前から再び

「ウタマロ。汚れにはウタマロ。」

と各所で叫ばれ始め

 

「……新しい宗教か?」

と感じていた私(失礼)。

そんなわけで一度か二度か使用しても

それ以降連続しようしてこなかった私。

いや、だって『生理ちゃん』でも

ウタマロ使っているのを読んで

「まじかよ!ウタマロ、ここまでくると

 ほんと、怖いよっ!」

とか思ってしまったのですよね…。

 

それゆえの離れていたウタマロ石鹸。

でも、スタッフさんは笑顔ではなく

大変神妙な顔で教えてくれています。

 

「固形なので使いにくいのですけれど、

 自転車のブレーキ汚れにも

 ウタマロならば確実に落とせます」

「うちではとりあつかっていないのですが、

 今はリキッドタイプのウタマロもありますよ」

「そして布地の漂白には

 こちら、オキシクリーン」

 

 

でたっ、オキシクリーン!

こやつもここ数年でぐんぐん知名度を

(主に私のなかで)

あげてきている漂白剤っ。

なに、今はこの二人の天下なの?

というか、ウタマロ石鹸、

名前が優美なわりに、

泥にも自転車のブレーキ汚れにも使えるって

あんたどんだけ頑固なマロなのよっ!?

 

と、脳内で激しく突っ込みいれながら

「靴クリーナーなら

 楽に落とせるんですけどね…」

と同じような苦しみを背負った顔をする

その店員さんにお礼をいって

ウタマロ石鹸を購入しました。

 

そして疲れ切った娘六歳の手を引いて

(わかる、わかるよ。俺にはわかる。

 まさか四軒もお店を行くとは

 思わなかったよな?

 と「虎に翼」ネタを盛り込みつつ)

 

帰宅して、

のんびりしている娘六歳を横目に

購入したウタマロを使用。

ちょいと切って~

ぬるま湯で溶かして~

こするっ!

こするっ!

こするっっ!

 

もこもこと泡が出ましてね。

そして、本当。

 

 

あの泥汚れが

きれいさっぱり無くなったのですよ…!

 

感動というよりも、

むしろ恐怖。

ウタマロ石鹸よ…

環境にやさしいのも知っているし

肌に優しいのも知っているけれど

(私が手荒れしていないのが証拠)

ほんと、これ、なんか

地球外の何か混じってない…?

とか思ってしまった…。

 

ええ、でもきれいに落ちました泥汚れ。

おちすぎて、怖いくらいです。

 

ウタマロ石鹸。

あの価格でこんだけ落ちるのは

確かにすごい。

そら、SNS上でもてはやされるわけだわ…。

 

でもその後車で行った先の大手スーパーで

靴クリーナーを見つけたので

買い置きしておきました。

 

何だろうか…

マロはすごいんだ…。

でもすごすぎると

恐怖を覚えるのも人の業なんだ…。

 

石鹸一つにここまで恐怖している私は

きっと世界を征服するのは無理だと思う。