★ innocence ★★★#6 | ???

★ innocence ★★★#6

Abuのリール

 

 


沢村東次のブログ


昨年、憧れだったアブのリール(中古)を手に入れた。
小学生だった頃、たしか1つ上の先輩(やはり小学生)が、

 

 

アブのリールを使っていた。
存在感ありすぎる黒光りするそのボディは、

年下の僕等が持つ安物のリールとは違う代物である事を無言で語っていた。
実際、その先輩は釣りも上手であったので、

僕たちみたいなヘタくそは、きっと邪魔であったに違いないが。

当時、地元にあった畜産試験所なるバリケードに囲まれた

広大な敷地の中に、船田池という池があった。
この池には2メートルぐらいの雷魚がいるという事を

その先輩がいつも僕等に語っていた。
畜産試験所は、バリケードに囲まれているぐらいだから

勝手に入っちゃダメなことぐらい頭の悪い小学生にだってわかる。
しかし、その主と呼ばれる2メートルの雷魚が、僕たちを駆り立てる。
バリケードをくぐり抜け、船田池に行こうとするが、

何度も何度も巡回している警備の人に追いかけられてしまう。

うまく潜り込んで池でルアーを投げ込んでいると警備がやってきて追いかけっこが始まる。


捕まったことのある知人の話では、どうやら、志村けんにそっくりな警備員が居るらしい。
その話を聞いてからは、僕らは、警備の車が見えたらば、

「志村きたぞー!!」と叫んで逃げる様になった。
警備員たちは、車の場合はいいのだが、

まれに、自転車で巡回している時がやっかいなのである。

見つかってからのレスポンスが良すぎて、

あわてて逃げると、転んだり、バリケードなどで名誉の負傷を負ってしまうからである。

 

この畜産試験所はやたらと広くて、

 

窓ガラスが全部割られた3・4階建ての建物が並んでいる不気味な場所があったりする。

だけども、いつだって子供たちは、

そんなワクワクする様な場所が大好きなんだ。


ましてや、2メートルの雷魚や、

志村けんにそっくりな警備員がいるのである、

小学生にとってこれほどワクワクすることはないのである。

 


今でもはっきりと覚えている。

 

朝方が警備が薄いから、次の休みの早朝に潜り込むという先輩に同行することになった。

その日は小雨だった。
先輩は胸の所まである長靴?みたいのを身に付けていた。
そして船田池に着くなり、浅瀬からゆっくりと池に浸かってゆき、

ベストポイントである蓮の葉の所へと、カエルのルアーを投げ込んだ。
同じ動きを数回繰り返した時、

 

「きたぁー!!!」 と叫ぶ先輩。

 

 

しなる竿。

 

瞬く間に、五十センチほどの雷魚が釣り上げられた。

生身で初めてみる雷魚に僕はとても興奮した。

 



長くなってしまったが、自分には、その頃からの憧れのリールなのである。
もっとも手に入れてからだいぶ日がたつが、使ってないという事は、

 

それほど釣りが好きではないのかもしれない。

 

う~ん。春になったらば、出陣だ!!