映画『国宝』は、

静かに、そして深く私たちに

「時代の移り変わり」を

問いかけてくる作品だと思います。

 

複雑な生い立ちからも

家業を受け継ぎ歌舞伎役者として

生きる立花喜久雄(吉沢亮)は、

伝統や家系、職人技という積み重ねの中で

人生を歩む。

 

誠実に努力し、

技を磨き続ける彼の姿は、

美しくもどこか切ない。

 

一方

 

家業をいったん離れた

小松大垣俊介(横浜流星)は、

一見すると

愛する人と新しい場所で

自由になったように見えるが、

 

その奥には喜久雄という才能の前で

感じた葛藤や自分の限界への静かな痛みがあった

のかもしれない。

 

誰もが自分の立場や役割の中で、

揺れ、迷い、選択して生きていく。

 

血筋や肩書きに頼れた時代から、

本当の実力や心の響きが重んじられる

新しい時代へ

 

私たちは今まさに、

そんな大きな転換点に

立っているのかもしれない。

 

すべての選択に正解も間違いもなく、

それぞれの生き方に静かな美しさが宿っていく。

 

『国宝』は、

そんな優しい余韻や人生について

考えさせられた作品だった。