すべての、
白いものたちの
本好きな方はご存知だと思うのですが
大切な本、大切な作品に出会った時に
その時々に発せられる光が向こうからやってきて
こちらに訪れる感触があることを。
こちらの本も、これは。。。と思い、手に取り、離さず購入。
先行する誰かの死があり
死があるからわたしがいる。
わたしはなにものなのか?
もしその死が生に転じていたら
わたしはこけにいないかもしれない。
生まれ落ちることができ、わたしはここにいる。
わたしの周りにたくさんの死があり、わたしの中にも死がある。
そのたくさんの死にかこまれて
命、生はある。
小説ではなく、散文詩ともいえる作品です。
死の淵に近づき、
生に転じるために
生命を輝かせるための取り組み。
わたし自身も早く母を亡くしたり、
いたかもしれない弟、妹がいた。
幼い頃から
母がそばにいてくれる、見守ってくれている感覚があり、
この作品にもその視点がある。
そして、死者と自分をいれかえ、
自分の生命を捧げる取り組みがあります。
「私たちの中の、われることも汚されることもない、どうあっても損なわれることのない部分を信じなくてはならなかった---信じようと努めるしかなかった。略
揺らいだり、ひびが入ったり、割れたりしそうになるたびに、わたしはあなたのことを、あなたに贈りたかった白いものたちを思う。神を信じたことがない私にとっては、ひとえにこのような瞬間を大切にすることが祈りである。」
文庫 179ページ 作家の言葉