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 『レッド・ツェッペリン III』(Led Zeppelin III)は、レッド・ツェッペリンの第3作アルバム。1970年10月発表。プロデューサーはジミー・ペイジ。レコーディング・エンジニアはアンディ・ジョンズ。

 アメリカでは1970年10月5日発売。予約だけで70万枚に達し、ビルボードのチャートで4週連続首位。イギリスでは10月21日に発売。全英チャートでも3週連続首位。後に1週だけ首位に返り咲いています。また2014年リリースのリマスター版も米ビルボードで10位、イギリスでは10位を記録しました。 

 十分なヒット作ではありましたが、前作『II』よりも売り上げは下がりました。またアコースティックな曲が多い事から、それまでのようなハードロック・サウンドを期待した聴衆からは軟弱になったと受け取られ、賛否がはっきりと別れました。批評家筋からも、レコード・ミラー紙のように「1stで見られたクオリティ重視の姿勢への回帰は喜ばしい」という賛辞から、ディスク&ミュージック・エコー紙は「彼等はもうやる気を失ってしまったのだろうか?」と厳しいものまで様々でした。中にはロサンゼルス・タイムス紙のように発売前に「彼らの破壊的な芸当に感応できるのは麻薬中毒者だけだ」と、内容も聴かずにレビューし、発売後になってから「大人しすぎる」と正反対のレビューをするようなプレスもありました。 本作をベストと信じて疑わなかったペイジは、非難の嵐に相当傷つき、落ち込んだといいます。しかしプラントは、批判はバンドに更なる努力と奮闘を促すから、決して悪いものではないと前向きに考えていたといいます。時が経つにつれてバンドの意図が理解されるようになり、本作は「ツェッペリンが多種多様な音楽性を備えている事を証明した重要作」という評価を得られるようになりました。2006年のクラシック・ロック誌による「100 Greatest British Rock Album Ever」で、本作は31位にランクインしました。


 1970年4月、アメリカツアーの終盤にさしかかる頃にはメンバー全員が疲労の極致にありました。ツアー終了後の5月、バンドはライブ活動を一旦停止し、ジミー・ペイジとロバート・プラントはウェールズ、スノウドニアにあるコテジ、ブロン・イ・アーを訪れ、休暇を楽しみました。電気もなく、大自然に囲まれた中での暮しは、彼らの創作に強いインスピレーションを与え、いくつもの曲が出来上がった。また、まだお互いに壁のあったペイジとプラントが、この休暇で完全に打ち解ける事が出来たと互いに語っています。 コテジから戻ってきたペイジとプラントは、ジョン・ポール・ジョーンズ、ジョン・ボーナムと合流し、ロンドンのオリンピック・スタジオで作業した後、ハンプシャー州にあるカントリーハウス、ヘッドリィ・グランジで、ローリング・ストーンズから借りた車載スタジオを持ち込んでレコーディングを行いました。


 収録曲の半分以上がアコースティック・サウンドであり(A-2およびB面全曲)、1st、2ndで確立したヘヴィ・ロック・バンドというイメージからの脱却を意図したものとなっています。ブロン・イ・アーでの暮らしが彼らの音楽性に影響をもたらしたことは間違いなく、ペイジは「モーテルやホテルの中じゃなく、スノウドニアの素晴しい大自然の中で曲作りをしてたんだから、楽曲が変化して当然だ」と認める一方で、単なるハードロック・ヘヴィメタルバンドではない事を実証するというよりも、進歩のないバンドではないという事を証明したかったと語っています。また、ペイジやプラントが元々抱いていたブリティッシュ・トラッドやウエスト・コースト・サウンドへの嗜好なども相まって新作の方向が定められたのだと思われます。


 やはり、頂点を極めてしまったバンドであっても疲弊してしまうのですね。ある程度、大好きな音楽、メンバーであっても距離を置いたり、プレッシャーから解き放たれる時期が必要なんでしょうね。それができたバンドが長続きするのかもしれませんね。


 前作同様見開きジャケットであり、表ジャケットが中空に作られて中に遊動する円盤が仕込まれ、円盤を回転させると表ジャケットにくりぬかれた穴からさまざまな絵が見えるという凝った造りになっています。本来、ペイジの意図としては、ブロン・イ・アーで感じた自然の営み、生命の流転といった感覚を表現すべく、農事暦や動物の繁殖サイクルなどを回転する円盤によって順次見せる、というデザインになるはずでしたが、デザイナーがその意図を充分理解せず、今見るようなポップなジャケットになってしまったのだといいます。ペイジは「まるでティーン・エイジのアイドルのアルバムみたいだと思った。わけがわからないし馬鹿みたいだ。トウモロコシだの何だのナンセンス極まりないだろ」と酷評しています。




 

 



 

 





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