https://youtube.com/watch?v=gHOCNf8Vnk4&feature=shared
『歌姫』は、中森明菜さんの1枚目のカバー・アルバム。このアルバムは1994年3月24日にMCAビクターよりリリースされました 。オリコン週間5位。
2002年12月4日には『歌姫〈スペシャル・エディション〉』としてユニバーサルJから再発売されました。
このアルバムのキャッチ・フレーズは「好きな歌だけ歌っていたい…」。本作のために、数百曲の候補から8か月かけて9曲に絞り込み、1960年代から1970年代の楽曲を中心に選曲されました。千住明さん率いる総勢50名からなるフル・オーケストラでの同時録音で収録され、ストリングス・アレンジが起用されました。このアルバムのディスクジャケットのデザインでは駄菓子を取り入れました。この理由について中森明菜さんは、穏やかで、幼少の頃を思い起させる気持ちを表現するためと説明しています。また、このジャケットに書かれた"歌姫"の題字は、井上陽水さんが手掛けました。
このアルバムの制作経緯についてエグゼクティブ・プロデューサーの川原伸司さんは、前アルバムのジャケットのミーティング時、次回はもう少し肩の力を抜いた作品を作ろうかといった提案から、これまで制作していなかったカバー・アルバムの話題に転じたといいます。かつて明菜さんがカラオケで杏里さんの「オリビアを聴きながら」などを歌唱する姿を見た川原さんは、歌を自身のものとして引き寄せる明菜さんの力量を感じていたといいます。そこで、当初は気軽に取り組んでもらいたいと考えていたと明かしています。しかし、本作でカバーした歌は既に確固たるスタイルを持っていたため、その上で新たに歌唱するということは、その分精神力を多く費やす作業でもあったとして、オリジナル制作とは異なる難しさがあり、容易ではなかったと川原さんは振り返っています。また、オリジナルを上回ろうといった意図ではなく、明菜さんが歌い継ぐことによって、後世に楽曲が残されていくことが出来ればとの思いを語っています。さらに川原さんは、このアルバムは、ハリー・ニルソンの『夜のシュミルソン』や、ちあきなおみさんの『すたんだーど・なんばー』を意識して作られたことを明かしています。
明菜さんは、レコーディングでは自然に自身を表現するように心掛けたと述べています。さらに、このアルバムでカバーした楽曲のオリジナルをあえて聴き込むことはしなかったと振り返っています。「そうすると、ブレスの位置まで元の歌手の人の感覚が自分に乗り移ってしまう」とこの理由について述べています。
『ミュージック・マガジン』のインタビューで明菜さんは、カバーした楽曲について語りました。「私は風」については、カルメン・マキさんの印象よりも、明菜さんの姉の長女が、ピアノを弾きながら毎日のように歌っていた歌い方のイメージを強く持っていると明かしました。この「私は風」は、プロデューサーとしての明菜自らが選んだ楽曲であったといいます。「魔法の鏡」については、最終的に詞から最もリアリティが沸くものをというマネージャーの提案により決定したといいます。「思秋期」については、明菜さんの母親から歌の基礎を教えられていた幼少の頃、難易度の高い歌で歌えなかったというエピソードも明かしています。
1994年12月には、本作を引っ提げたスペシャル・ライブ歌姫 パルコ劇場ライブを開催しました。
『歌姫シリーズ』あそこまで続くとは思いませんでした。シリーズが進むごとにこんな一世を風靡し、ヒット曲多数の歌姫がカバー歌手になる必要ないでしょう?と懐疑的でした。中森明菜さんが山口百恵さんを歌うとどうなるかは興味ありました。ちょっとアレンジが一辺倒に感じて、ほとんどファルセット歌唱なのが不満な点ではありましたが、さすがの表現力ですね。
昨今、中森明菜さん自身が再注目されているのを見ると嬉しいですね。