https://youtube.com/watch?v=-zbwKi47Gdo&feature=shared
『ふざけんじゃねぇ』は、長渕剛さんの16枚目のオリジナル・アルバム。
再デビューから18年間所属した東芝EMIを離れ、フォーライフ・レコードへの移籍第一弾アルバムとして1997年9月3日にリリースされました。前作『家族』(1996年)よりおよそ1年8ヶ月ぶりにリリースされた作品であり、全作詞・作曲は長渕さんが担当している他、収録曲の内「金色に輝け50年」のみ作詞として僧侶の西村公朝さんが参加、プロデュースは長渕さんと瀬尾一三さんおよび笛吹利明さんによる共同プロデュースとなっています。
レコーディングは日本国内にて行われ、長渕さんによる初のカバー曲である坂本九の「上を向いて歩こう」(1961年)が収録されています。音楽性としてはチャランゴやフラットマンドリンの音色を多く取り入れたニューエイジ風のワールドミュージックとなっています。 長渕さん自身が出演したテレビ朝日系テレビドラマ『ボディーガード』(1997年)の主題歌「ひまわり」を収録。 オリコンチャートでは最高位1位を獲得しました。
文芸雑誌『別冊カドカワ 総力特集 長渕剛』において音楽ライターの藤井徹貫さんは、「ドラマ『とんぼ』の主人公は長渕の分身であり、永遠の親友でもあるのだろう。彼が新宿の路上に倒れてから約10年。やっと書くことのできた鎮魂歌が『英二』。(中略)西村公朝と歌詞を共作している『金色に輝け50年』。坂本九のカバー『上を向いて歩こう』。(中略)原曲もジャス・アレンジだが、それとは別の解釈でのジャズ・アレンジになっている。そして、40歳の誕生日を明日に控えた心情を歌った『しあわせの小さな庭』」と述べています。
文芸雑誌『文藝別冊 長渕剛 民衆の怒りと祈りの歌』において二木は、「『ふざけんじゃねぇ』という好戦的なタイトルとは裏腹に、この作品には長渕の優しさがあふれている」、「怒りをぶちまけているような不良の歌は表題曲ぐらいで、アルバムの大半は穏やかな曲調で占められている」、「(本作は)"長渕流サイケデリック・ワールド・ミュージック"の一作であろう」と肯定的な評価を下しています。
僕は『いつかの少年』『家族』のツアーも参加し、それぞれベスト・アルバムと『家族』も買ってつぎはどんなアルバムになるのだろうと興味がありました。
タイトルが『ふざけんじゃねぇ』だし、『家族』で一拍置いたので、さぞ、過激な批判的メッセージ、ギスギスした雰囲気のアルバムなのだろうなと想像していました。しかし、本当にジャケットやタイトルとは違い、穏やかと言いますか、達観した印象を受けました。この時期の長渕さんの歌詞やサウンド、好きなんですよね。なんと形容して良いか難しいのですが、マッチョ化以前、ブルース・スプリングスティーンみたいになってしまう前。中には怒っている曲もあるんだけど、非常に穏やかな気持ちで聴けるアルバムでした。この感じはこの当時の“長渕剛”しか出せないのでは?と感じるアルバムでした。