https://youtube.com/watch?v=F-Oax86SCuo&feature=shared


 『悪の華』は、BUCK-TICKの5枚目のオリジナル・アルバム。

 1990年2月1日にビクター音楽産業のInvitationよりリリースされました。前作『TABOO』(1989年)よりおよそ1年ぶりとなる作品であり、作詞は櫻井敦司さんおよび今井寿さん以外にも星野英彦さん、ヤガミトールさんが担当しており、作曲は今井さんと星野さんによって行われています。 今井さんがLSD使用による麻薬取締法違反容疑で逮捕された事により、半年間の活動休止を余儀なくされたBUCK-TICKによる復帰作。レコーディングはセルフ・プロデュースによって行われ、前作のダークな世界観を踏襲しながらもよりメロディラインを意識した曲で構成されています。 本作はオリコンチャートにて初登場1位を獲得、売り上げ枚数は43.5万枚となりBUCK-TICKとしては最も売り上げの高いアルバムとなったほか、本作によって確立されたBUCK-TICKのバンドイメージは後のヴィジュアル系に多大な影響を与えることとなりました。

 本作のタイトルである「悪の華」は、映画『気狂いピエロ』(1965年)を視聴したことで櫻井さんが決定し、収録曲である「悪の華」は映画の世界観から櫻井さんが感じ取った内容を歌詞にしており、また櫻井さんは曲を聴くことでリスナーにも映画の主人公になりきって欲しいと述べています。インパクトのある言葉として「悪の華」を発見した櫻井さんでしたが、当初は「悪の華」を英語に翻訳しようと試みるも、漢字のインパクトに勝てないためにBUCK-TICKのアルバムタイトルとして初めて日本語が使用されることとなりました。しかし今井さんによる事件後ということもあってスタッフからは賛否両論となり、メンバーとスタッフの間で議論が重ねられたが結果として「悪の華」を超えるタイトルが思いつかなったために決定することとなりました。 櫻井さんは3枚目のアルバム『SEVENTH HEAVEN』(1988年)収録曲であった「VICTIMS OF LOVE」の世界観をさらに追求したいとの欲求があったと述べ、同曲制作時には不完全燃焼の状態で作詞しており、内にこもっていた部分を外に向けて描きたいと追求した結果「絶望感」にたどり着いたと述べています。それを受けて前作が制作されましたが、櫻井さんは本作ではさらに外に目を向けた内容にしたかったとも述べています。また他にも映画『ルートヴィヒ』(1972年)にも影響を受けており、収録曲10曲がそれぞれ世界観を持っていることから櫻井さんは1曲ごとに声の出し方を意識して変化を付けたと述べています。


 今井さんは1曲目の「NATIONAL MEDIA BOYS」に関しては「とにかく変態的でメロディはキレイで、妙に明るかったりマイナーになったり。グチャグチャにしようって」と述べ、それまでは意図的に避けていた日本的なメロディのロックンロールとして制作したと述べています。歌詞中の「Adolf」とはアドルフ・ヒトラーのことであり、同曲はヒトラーユーゲントに所属していた子供たちを題材にしたかったと述べたほか、詞が完成するまでに1週間程度掛かったと述べています。また、今井さんはヒトラーの存在を特撮テレビドラマ『仮面ライダーシリーズ』に登場するショッカーのような印象を受けたと述べ、国家を代表する者やその親衛隊が髑髏マークの旗を掲げていることや、演説の際に効果的にライトを当てていることなど存在そのものに興味を抱いたと述べています。2曲目の「幻の都」はアラブ音楽の音階を利用してテンポのいい曲を目指して制作されました。

 


 正直、ああいう事件があったので、このまま居なくなってしまうのかなと、当時は思っていました。『悪の華』というタイトルで戻ってきたことは誰もが驚いたことでしょう。結果的に35年以上、メンバーチェンジも無く、活動が続きました。今井さんはまだBUCK-TICKは続くと言っていますが、どんなものをみせてくれるのでしょうね。



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