https://youtube.com/watch?v=sLkmkFu5pIU&feature=shared
『マドモアゼル モーツァルト』は、小室哲哉さんが1991年12月26日にリリースしたミュージカル『マドモアゼル モーツァルト』のサウンドトラック。オリコン週間10位。
音楽座からオファーが来るまでは、日本のミュージカルの現状は一般的な知識しか持ち合わせておらず、劇団四季以外にも興行として成立しているミュージカル劇団があったことにすら小室哲哉さんにとっては驚きでした。音楽座の「シャボン玉とんだ宇宙までとんだ」を見た小室さんが「裏を探る様な見方をするのを忘れる程響いた」と感動し、それがきっかけとなりオファーを受けました。
TMの「EXPO」のレコーディングが終了してから作業に入りました。1週間で2時間の上映時間に対しての14~15曲ができました。ミュージカル向けの楽曲の本来の制作方法に合わせ、小室さんの曲が出来上がった後に脚本の筋を変えたり、舞台美術のイメージを決定していき、小室さんも既に作った曲をシーン毎に組み替えたり、アレンジし直したり、振り分け・流れに意見を出しました。最後の楽曲のレコーディングが終わったのは舞台初日の2日前のことでした。 台本を頭に入れつつも、見ない状態で1曲作った後、そこから広げる様に全ての楽曲を作り上げました。アルバム収録用の楽曲とミュージカルのみに使用される楽曲を頭の中で切り替えながら制作しました。
その後、舞台用の音源のレコーディングが終わった直後にスタジオ音源制作のために改めてアルバムのセットリストをミュージカルのみに使用された楽曲も含めて再構成され、編曲し直した後に新しくレコーディングが行われました。その最中は「メロディのモチーフが同じなだけで、叩き台・デモテープ・舞台用の音源・CD用の音源とその都度全くの新曲をレコーディングする」つもりで取り組みました。その作業を通して、小室さんは「僕は作曲家としてまだまだ良いメロディが書ける」と再確認しましたが、V2のレコーディングと「Tour TMN EXPO」と並行していたため、ツアー先の秋田で過労で入院してしまいました。 本作の制作を通して、小室さんは「ミュージカルには、めくるめく場面や雰囲気がどんどん変わっていく曲作りができる感覚が必要。『ロック・バラードは巧いけど他のジャンルは作れない』とか『ビートもの以外は苦手』な人は無理だということを実感した。シングル制作はめくるめくシーンの中からワンシーンだけを取り出して、それを強烈にデフォルメすることに過ぎない」と語りました。 所々にヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトのフレーズをサンプリングしています。
小室哲哉さんって、90年代はダンスミュージックに傾倒したと思うんですが、僕はミュージカルとか映画音楽の才能があるように思ってます。本人は苦手だと思っていらっしゃるかもしれませんが。映画『天と地と』とか美しいですね。『マドモアゼル モーツァルト』はノリの良い曲も収録されていますが、夜に聴いても喧しく感じないとても品格を感じるサントラになっていると思います。
この路線、続けていたら、作曲家というよりも、音楽家としての地位(坂本龍一さんみたいな位置)にいたのでは?そこまではないか…。でも、小室さんのこういう路線、好きです。