https://youtu.be/hTWKbfoikeg


 『ネヴァーマインド』(Nevermind)は、ニルヴァーナの2枚目のアルバム。アルバムはビルボードにおいてナンバー1となり、驚異的な売り上げを示しました。シアトルのローカルバンドに過ぎなかったニルヴァーナを全米トップの人気バンドへと押し上げ、グランジ/オルタナティヴ・ロックムーブメントを全米に広げました。カートの自殺によるバンド解散後もアルバムは売れ続け、2013年までに全世界で3,000万枚を超えています。

 アルバム『ネヴァーマインド』は、1990年から1991年にかけて録音されました。プロデューサーはブッチ・ヴィグ、ミキサーはアンディ・ウォレスがそれぞれ担当。より広い層にアピールするようボーカル/ギターを強調し、またラジオオンエアの際によりクリアに聴こえるように中音域に音を集めたミックスとなりました。また、ヒット曲「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」から始まる楽曲もメジャー市場を意識したものからアンダーグラウンド寄りのものまでバランスよく収録されています。因みにこのようにそれまでのアンダーグラウンド重視からポップな曲作りが行われるようになったのはゲフィン・レコードとの契約時の「トップ30にパンクを入れる」という発言などからカートがこのアルバムをヒットさせることを意識していたことが理由として挙げられます。 ジャケットで泳いているのはスペンサー・エルデン(Spencer Elden)という男児。

 アルバムはヘヴィメタルファンからロック/ポップのファンまで幅広いリスナーを獲得するに至りました。 このアルバムはベストセラーとなり、ニルヴァーナは一躍トップバンドの仲間入りを果たしましたが、メジャー市場を意識した作りは後のニルヴァーナの活動に影を落としてしまうこととなります。特にボーカルのカート・コバーンは完成当初は、サウンドプロダクションも含め非常に気に入っていたものの、この成功を快くは思っておらず、1993年のインタビューでは「今では全く聴いていない」と語るなど、度々本アルバムを嫌悪・否定するような発言を繰り返しています。このカートの態度は、後にアンダーグラウンドへと回帰した『イン・ユーテロ』を生むこととなりました。

 ジャケットには生後4か月のスペンサー・エルデンが全裸で1ドル札を見ながらプールを泳いでいる姿が写されていますが、この写真が児童ポルノに当たるとして2021年8月にスペンサーはニルヴァーナを提訴しました。スペンサーは17歳の頃に「たくさんの人に僕の裸を見られたと思うと、ゾッとするよ。僕は世界一のポルノ俳優になった気分さ」とも語っています。しかしながら、スペンサーは同アルバムの10周年、20周年、25周年に合わせ、水着を着た状態でオマージュを撮影しています。裁判所は10年の時効を大幅に超えているとし棄却していますが、スペンサーは再提訴を繰り返しています。じゃあ、何でオマージュを撮影したりしたのに、訴訟なんか起こしたんだろう。お金?


 ビルボード200において1位を獲得、また数々の批評家達からその年のベスト・アルバムに選出された。 RIAAにより、ゴールド、プラチナアルバムとして認定。しかしながら、保守的なグラミー賞には候補にも上りませんでした。 2020年、「ローリングストーン誌が選ぶオールタイム・ベストアルバム500」に於いて6位。これは、90年代以降のアルバムの中で最高位となります。


 先行シングルの『Smells Like Teen Spirit』。それまでにロックミュージックを牽引していた、派手なルックスながらも歌詞に大きな意味を持たない、音楽に重きを置いたハードロックや、MTVを意識したアイドルロックバンド等の類がメジャーであった音楽ムーブメントに、突如、憂鬱で地味な見た目で、半ば意味不明ながらも一定のメッセージ性がある歌詞と、万人受けするメロディを持ち合わせた当曲は、当時の音楽ムーブメントに大きな衝撃を与えました。これが音楽転換点となり、その後以降の「グランジ」という音楽ジャンルをメジャーに押し上げ牽引しました。この曲、時々、意味もなく、大音響で聴いてます。『グランジ』というジャンルは当時、何が良いか理解できなかったですね。派手な様式美のあるHR/HMが好きだったので、それが下火になるのには抵抗がありました。


 

 



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