https://youtu.be/lMbyDfvdxjM
『darker than darkness -style 93-』は、BUCK-TICKの7枚目のオリジナル・アルバム。
1993年6月23日にビクターエンタテインメントのInvitationレーベルよりリリースされました。前作『狂った太陽』(1991年)よりおよそ2年4か月ぶりとなる作品であり、作詞は櫻井敦司さんおよび今井寿さんが担当、作曲は今井さんおよび星野英彦さんが担当、BUCK-TICKによるセルフ・プロデュースとなっています。 レコーディングでは星野さんが初めてキーボードを使用するなど新たな試みが行われました。音楽性は前作に増してノイズ音が顕著になり、ギター・サウンドもヘビーなものになっています。アルバムタイトルは「暗闇の向こう側」という意味合いを込めて、今井さんが命名しました。 先行シングルとして「ドレス」がリリースされたほか、「die」がリカットとしてリリースされました。「ドレス」はリリースから12年後にWOWOWテレビアニメ『トリニティ・ブラッド』(2005年)の主題歌として使用され、2005年4月20日に「ドレス (bloody trinity mix)]」としてリミックスバージョンがリリースされた。 本作はオリコンチャートにて最高位2位となりました。
楽曲の制作に当たり、星野さんは今井さんに電話してアルバムの方向性を確認しましたが、今井さんからの返答は「やってみねぇとわかんねぇ」というものでした。その時点で星野さをは一度制作した曲をボツにし、もう一度新曲の制作に取り組んでいましたが、今井さんは1曲も制作していない状態でした。その時に今井さんは星野さんとの関係性をイソップ寓話『アリとキリギリス』に例えています。今井さんは星野さんが制作した「誘惑」および「ドレス」を聴いて、ギターサウンドではないことから「ヒデはとまどってんのかなって思った」と述べています。後に今井さんの曲が出来上がって来た際に、自身の制作曲とはあまりに曲調が異なることから、星野さんは自問自答する場面もあったと述べています。また、今井さんは星野さんが制作した曲を2枚目のアルバム『SEXUAL×××××!』(1987年)収録曲の「ILLUSION」が進化したような形であると述べています。両者の制作曲を擦り合わせた際に、全く異質であるために同じアルバムに収録することに星野さんは疑問を呈していたが、今井さんは相手の曲に合わせることはかえってマイナスになると判断し、両者とも気の赴くままに制作することが重要であると述べています。その他、星野さんは本作で初めてキーボードを演奏しており、星野さんのギターパートが存在しない箇所ではキーボードを演奏するなど音楽の幅が広がったと今井さんは述べています。 櫻井さんは本作における歌詞制作に関して、自身の言いたいことは一つであり、その一つのことを説明する言葉を多種多様に引っ張り出して使用していると述べ、また詞の世界のキャラクターとしての言葉を選択しているとも述べています。本作での作詞方法は前作までと異なり、ノートに思いついた言葉を大量に書き留めていたが、実際にはそこに書かれた言葉はほとんど使用されなかったと述べています。また、本作の歌詞は前向きなものが多く、櫻井は「自分に優しくなれるようになったんですよ、あまりイジメちゃかわいそうだなぁって。弱いんだからオレはって」と述べています。リズム隊である樋口豊さんとヤガミトールさんは、最初に制作された5曲のレコーディング期間が50日程度あったため、余裕を持って作業をすることができたと述べています。また、初期の頃はスタジオで初めて聴かされた曲をそのままレコーディングしていたが、本作の頃にはある程度完成したデモテープが制作された上でレコーディングが行われるように変化しており、樋口さんとヤガミさんはともに「やりやすい」「楽になってきてます」と述べています。
本作には仕掛けがあり、パッケージなどには10曲目までしか曲目は記載されていないのですが、実際はCDの中には93トラック存在しています。75トラック目と84トラック目にノイズが収録されており、最終トラックである93トラック目には隠しトラックである「D・T・D」が収録されています。「D・T・D」の歌詞はシングル「die」およびベスト・アルバム『BT』(1999年)に記載されています。また、シングル「die」のカップリングとして収録されたライブ版の曲タイトルは「darker than darkness (live)」となっています。
音楽情報サイト『CDジャーナル』では、「大胆なヴォイス・エフェクトをほどこしたノイジーなサウンドにはアバンギャルドな魅力が蔓延している」と記したほか、「さらに重く暗くアグレッシヴに、独自の境地を突き進む彼らの姿が潔い作品。シニカルな櫻井の歌詞の世界にも注目」と記した上で肯定的に評価しました。書籍『BUCK-TICK ~since 1985-2011~ 史上最強のROCK BAND』では、前作までに見られたポップな要素が薄まり「ひたすらマニアックな表現を突き詰めた一枚」であると指摘、また「非常にヘヴィな楽曲が多く、歌詞もひときわ抽象的で内省的なものとなっている」とも指摘した上で、一般的にBUCK-TICKは『悪の華』(1990年)のイメージが強いが本格的なBUCK-TICKのサウンドは本作から始まっていると肯定的に評価しました。書籍『B-T DATA BUCK-TICK 25th Anniversary Edition』では、本作を「極端なミックスや音響効果が施されたアルバム」であると主張、世界観は「暗黒よりも暗い世界」となっているがジャズやファンク、ヒップホップなどの多彩な音楽性を取り入れたことを「斬新なアプローチ」であるとして肯定的に評価しました。
この前の『殺シノ調べ This is NOT Greatest Hits』は、音が突然、洗練されたように感じて、これからどうなるのだろうという期待も込めて購入しました。多くの要素がぶち込んであり、とても重厚に感じました。
ポップな感じは減退していますが、大変聴き応えのあるアルバムですね。次の『Six/Nine』は更に聴く人を選ぶ作品になってますね。
櫻井敦司さん、2回目の命日ですね。何だかまだ受け入れられていない気がします。死を歌っているけれど、本人は死なないと心のどこかで思っていたから。個人的BUCK-TICKではこのアルバムと『13階は月光』が双璧で好きでした

