https://youtu.be/4w6qRtsLCbY


 『深海』は、Mr.Childrenの5枚目のアルバム。1996年6月24日にトイズファクトリーより発売。

 前作『Atomic Heart』から約1年10ヶ月ぶりのアルバムであり、初のコンセプト・アルバム。通常盤のみの発売で、発売の際に大量の初回ロットの不良が発生しました。 ジャケットは桜井和寿さん曰く、「ニューヨークでアルバムを作っている時に雑誌をパラパラと見ていたら、アンディー・ウォーホルの『電気椅子』という作品が載っていて、『ああ、このアルバムはこんな感じにしたいな』と思ったんですよね」とのことです。 

  レコーディングは大半がニューヨークのウォーター・フロント・スタジオで、1995年12月下旬から1996年3月にかけて行われました。60-70年代のビンテージ機材を使用したアナログレコーディング。 本アルバム発売時にすでにリリースしていた、6thシングル『Tomorrow never knows』・7thシングル『everybody goes -秩序のない現代にドロップキック-』・8thシングル『【es】 〜Theme of es〜』・9thシングル『シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜』は本作のテーマにそぐわないという理由で未収録となっています。 本作の収録曲でミュージック・ビデオが制作されたのは「花 -Mémento-Mori-」の1曲のみ。 発売前の雑誌には「青盤(『深海』)」と「赤盤(『BOLERO』)」による2枚組という情報も流れていました。桜井さんは「『深海』は『BOLERO』の中の1曲として捉えている」と語っており、曲ごとにトラックで分けず全体で1トラックにすることも考えていました。そのため全曲にはほぼ曲間がなく、いくつかの曲はノンストップで繋いでいます。当初桜井さんはアルバムタイトルを『シーラカンス』にしようと考えその旨をメンバーに話したところ「深海?」と聞き返され、それが非常に強く印象に残ったため最終的に『深海』をタイトルに採用しました。

 制作当時は桜井さんが精神的に疲弊していた時期であり、当時のインタビューで「ほんとにもう、いつも『死にたい、死にたい』っつう感じでしたからね」と自殺願望について発言したり、制作当時に「要は、すごくピュアなラヴソングはもう書けないじゃないですか。『そんなの嘘、不倫してんじゃん!』って。そのつっこまれる前に、このぐちゃぐちゃを吐き出してやろうっていう。」といった思いがあったことを明らかにしました。発売前には「深海が売れなかったら大衆のせい」、発売後には「音楽の力だけでは売上につながらないから」と突き放した発言もしていました。


 累計売上は274.5万枚。(オリコン調べ)で、前作より減少しましたが当時のアルバムチャートでは歴代1位の初週売り上げ153.6万枚を記録しました。


 『Atomic Heart』で記録を更新して、ファンの期待が初動にも現れていますが、こんなにダークな世界観の作品を持ってきたことに驚きました。まあ、当時のマスコミの報道のされ方だと、ピュアなラブソングだと説得力無かったかもしれませんね。爆発的に売れて、私生活を追いかけてくる世間にうんざりしていたのかも。それに頂点のプレッシャー、私生活の罪悪感が加わって、虚無感、自殺願望が生まれていたのかもしれませんね。


 お気に入りは、『名もなき詩』、『シーラカンス』、『ゆりかごのある丘から』、『花 -Mémento-Mori-』でした。