2枚目のシングル、1982年7月28日発売。オリコン週間5位。ザ・ベストテン週間3位。
この、デビューシングルとは詞調も曲調も一転した楽曲は、売野雅勇さんが作詞し、芹澤廣明さんが作曲を手掛け、萩田光雄さんが編曲を務めました。売野さんにとって、本曲が最初のヒット曲ともなりました。また、この楽曲を契機に、売野さんと芹澤さんとのコンビによるチェッカーズの一連のヒット曲を手掛けていきます。
タイトルかつ歌詞の最後に登場する「少女A」は、少年犯罪において実名報道を避けるために用いられる匿名から売野さんが思いついたもので、明菜さんのイニシャルとは無関係。もともとのタイトルは「少女A(16)」でしたが、「少女A(17)」を経て最終的に「少女A」に落ち着きました。
本曲の詞については、もともと沢田研二さん向けに「ロリータ」のタイトルで提供され廃案になった歌詞(プールサイドで年配の男が10代の少女を口説く設定)を書き直したものだとそうです。また、サビの一部の歌詞も、後述「蒼いシャガールの絵」に元々あった「ねえ、あなた ねえ、あなた」を、「じれったい じれったい」に書き換えたという経緯があります。これも含め売野さんは、「プレイバックPart2」(山口百恵さん)の捨てゼリフなど阿木燿子さん作品を参考にもしたそうです。詞先であり、プロデューサーや売野さんらの検討の結果、当時売野と同じ作家事務所に在籍していた芹澤さんのデモ曲ストック3曲のうち、(売野さんとは別の作詞家による)半年ほど前に作られた「蒼いシャガールの絵」用のメロディーが採用されました。
『CDジャーナル』は「少女A」について、サザンオールスターズなどにも通底する曲調で、当時のミュージック・シーンにも影響を及ぼしたと指摘、歌唱については、「不良っぽくもありながら、どこか哀しげなヴォーカル・ワークに心揺さぶられるナンバー。」と批評。加えて、明菜さんがアイドル歌手としての地位を強固なものとした楽曲であると批評しました。
本人は明菜の「A」だと捉え、自分の隠していたやんちゃな一面を、全面的にカミングアウトしてしまう歌だと思いこんで、「いやだ!絶対に歌いたくない」と拒否したエピソードは有名ですね。時間をかけてなだめたのだと思います。結局は不機嫌な状態でレコーディングしたようですが、歌入れでは、本人にはテストと言いながら1回目から内緒で録音したらしいですね。ジャケットの睨み付けたような表情も本人は納得してなかったらしいです。
今となっては、清純な曲とツッパリを交互にやっていくというのは成功でしたね。もしかして「スローモーション」→「セカンド・ラブ」と可憐な路線を継続していたら、埋没していたかもしれませんね。「スローモーション」の次に「少女A」を持ってきたことが明菜さんの運命を変えて、「セカンド・ラブ」を大ヒットに導いて、その後も末永く愛される歌手に押し上げるきっかけを作ったのかもしれませんね。