https://youtu.be/krCk3EcsaxE


 1998年9月9日発売。オリコン週間50位。

 本楽曲を発表する際に、林檎さんは1990年代前半に一世を風靡した音楽ジャンルの渋谷系とこの楽曲のタイトルを掛けて「新宿系自作自演屋」と自称しました。この肩書について、当初は「新宿の人間は生臭くて、自己嫌悪に陥りながらも何かを求めて必死に生きてる。その見えない真実を追い求めるのが新宿系」「小奇麗な渋谷系と差別化するため」などと話していましたが、シングル「本能」の発表時点では「ジャンルは何系か?という質問にいちいち答えるのが面倒臭かったから」と変わり、そののちには「(当時の自分の答えを見せられ)何を言ってるのか全然わからない」「インタビュアーの期待に応えるために一生懸命考えて答えていたのだろう」などと答えています。それでもこの「新宿系」という言葉のインパクトは強く、結果として自身でも2003年頃までは肩書きとして使い続け、「歌舞伎町の女王」は林檎さんの代表曲のひとつとなりました。風俗街としても知られる東京都新宿区歌舞伎町からタイトルを取った楽曲で、福岡から上京したばかりの林檎さんが都内上野レコードショップでアルバイトしていた頃に水商売のスカウトマンに「君なら女王様になれる」と誘われたことから着想を得て制作されました。この当時の林檎さんの作品の中では珍しく歌詞の内容が完全なフィクションであり、製作を終えた時点でも林檎さん自身はまだ歌舞伎町を訪れた経験が無かったそうです。何かアングラというか、昭和の歌謡曲とロックをブレンドしたような雰囲気が好きでした。今でも“椎名林檎”を凝縮したような曲だと思っています。