AKMのDACの一つ、AK4497(AK4497EQ)は多少、古くなりましたが好きなDACの一つです。
ピアノは打楽器なので、鍵盤を叩いた瞬間のアタック音が十分に感じられるかが命ですが、AK4497のアタックは十分なのに柔らかく、ピークに音色が乗り綺麗です。
新作のDACは概してアタック音が強いだけで痛く感じたり、耳当たりは良いのだが、逆にアタック感が希薄なDACもありました(最近、AK44497EQの後継AK4497Sを搭載した据置き型USB DAC、Fiio K15が出てきましたが、音を聴いたことはありません)。
[AK4497搭載DAPをUSB DACに]
AK4497を搭載した据置き型USB DACではありませんが、代わりに小型のDAP(デジタル・オーディオ・プレイヤー)をUSB DACモードで使い、Apple MusicやQobuzなどを走らせたiPadからハイレゾ音源データ(最大192kHz)を送り込んでいます。
今回は、DAPとしてAstell&Kern SP1000M-RGを使いましたが、他にAstell&Kern SE180(SEM2)及びFiio M11 Plus LTD のAK4497搭載DAP 2機種も基本的に音の傾向は同じです(これらは旧型なので中古で安く手に入ります)。
AK4497は電圧出力型のDACで、LPFやライン出力レベルまで増幅するプリアンプをディスクリート素子で組んだ据置き型のUSB DACも一部存在しますが(非常に高価)、据置き型を含め大抵のUSB DACは推奨されたオペアンプなどのモノリシックICアンプを初段(ライン出力まで)に使っているので音が似るのでしょう。
各社はその後のヘッドホンアンプ部の設計でオリジナリティを出そうとしているように見えます。
DAP周りは、以前に紹介したヒートシンクの役目を持つ純銅製置き台の上にDAPを載せて、熱くなりがちのDAPを冷やしています。
また、USBラインのノイズフィルターとして、以前紹介したSilent Power社USB iPurifier Proと、USB +5V電源ラインにパナソニック製SH-UPX01(オーディオ用コンデンサ)を並列接続しました。
[音]
私の場合、DAP内蔵ヘッドホンアンプは使わずに、ライン出力を据置き型ヘッドホンアンプに繋いでヘッドホンで聴いたり、パワーアンプに繋いでスピーカーで聴いています。
今回はシングルエンド・ライン出力(アンバランス)をフル・ディスクリート構成の据置き型ヘッドホンアンプ(プリ部に真空管)に繋いで、平面駆動型ヘッドホンで聴きました。
O ヘッドホンアンプ:audio-technica AT-BHA100
O ヘッドホン:Hifiman Arya Organic
AK4497 DACと真空管は相性が良さそうで、ピアノ以外にもバイオリンの弦の倍音(高次成分)や響きが強調されて癒される音になります(「かすれ」が聴こえる感じ)。
従って、ハイレゾ音源(96kHzや192kHz)のメリットを感じ易いと思います。
ヘッドホンはバランス駆動すると、頭内定位で前方センターが抜けて左右の繋がりが悪くなる平面駆動型ヘッドホンを幾つか持っているので、基本はシングルエンド駆動(アンバランス)で使っています。
駆動力が大きい据置き型ヘッドホンアンプなので、能率が悪い平面駆動型ヘッドホンをシングルエンド駆動しても余裕があり、バランス駆動を選ぶ理由がありません。
しかし、リターンGNDを分離して左右のクロストークを減らす目的でバランスケーブルを使っています(L-とR-はGNDに接続しますが、後日、紹介出来たらと思います)。
[最後に]
最近のDACの音は、AK4497に比べると、ピアノのアタックに硬さを感じ、痛い感じです(例えば、マリオツィオ・ポリーニによるショパン・エチュード作品10第1番)。
ところが、ESSの最新DACである ES9039(M/S)PRO をオプションのデジタルフィルター設定(Minimum phase slow Roll-off low dispersion )で使うと、アタックの硬さが取れてAK4497風になり、元々のDAC能力と合わさって素晴らしい音になります。
しかし、私の機器ではスピーカー向きではない音場になり(音像が広がってボケる)、ヘッドホンとスピーカーの両方で良いUSB DACは難しいのかも知れません(共に、同じライン出力を使っての比較)。

