Kugutsu

絶対多数の価値観が

いつの間にか棲みついて

得意げに傀儡を操っている



疎まれ蔑まれていたはずが

甘い麻薬をはびこらせ

まるで今では王様だ



ついて来なけりゃ外れ者

苦しまずに楽に行こうぜと

カシュパーレクが踊り出す



それでも時折目くばせて

さあどうする？とナイフを渡し

へらへら笑いで試すのか



唯一無二の価値観を

甦らすのに許しはいらない

必要なのは勇気だけ



薄汚い絶望の廃墟を

黄金の都に見せかける

ヤツは手強い傀儡師だ



麻痺状態に慣らされる前に

この操り糸にナイフを当て

今こそズッパリ断ち切るぞ







～ 真夜中の吟遊詩人
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沈黙

それは誤解だと　君の目を見て話せばいいのに

言葉をつくして　説明すればいいのに

僕の口は　セメントで固められたようだ



きっと君には　無表情に見えるだろうが

そして図星だから　黙ってると思うだろうが

全然そういうことじゃ　ないんだよ



解ってる



こんなの　甘え以外の何ものでもない

言葉にしなくても　通じてくれだなんて

僕の思考回路どおり　考えてくれだなんて



解っているが・・・



かつては互いに　そんな幻想を抱いてた

つながってると　実感できた瞬間とか

やけに醒めた頭で　思い出したりして



たとえ弁解であっても　聞きたがってる

嘘の証明をしようと　待ちかまえてる

今君がすごく遠い気がして　何も言えない







～ 真夜中の吟遊詩人
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Astral World

一人が寂しいと　感じる時もあるが

独りであることは　心地いい


僕が何者であるか　とか

何故ここに僕がいるのか　とか


僕が僕であるための　答え求めて

ゆっくりと　ただ独りで散歩する


あらゆる事象が　包括されて

すべての心象が　淘汰されて


最後に残る　純粋な何かを

見つけるための　Astral World







～ 真夜中の吟遊詩人
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鯨墓

みすゞの故郷に　鯨墓があると云う

春の終わりに　鯨法会をすると云う

ありがとう　ありがたや

命をくれて　ありがとう

ありがたいけど　切ないなあ



元禄の世に　網元たちが建てたと云う

母とともに　命を落とした子鯨の墓

すまないね　すまないね

これから生きる　命を奪って

せめて功徳の果報を　受けとくれ



ほかの命を　頂きながら生きるから

捧げられたものの　憐れを想う

奪うもの　奪われるものの

命の重みに　かわりは無いと

知ればこその　供養なれ



日本人の心知る　外つ国の人は少なく

白黒つけて　説明しろと言われても

ありがたくて　すまなくて

切なくて　心ひかれる

こんな気持ちを　何と言う



ひと言では　言い表せぬ感情が

胸の奥に拡がり　魂を静かに揺する

じんわりと　やさしくて

しみじみと　泣きたくて・・・

もののあはれを　鯨墓に想う




――――　『鯨法会』（作：金子みすゞ）に寄せて


～ 真夜中の吟遊詩人
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（お読み下さいましてありがとうございました）



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老者

指は曲がり　膝潰れ

瞳は濁り　歯も抜けて

この世にもって　生まれたものを

ひとつひとつ　使い終え

精一杯に　使い切り

老いさらばえる　満足を

その眼差しは　伝えてる



耳は遠く　言葉出ず

思い出薄れて　子も忘れ

この世で歩んで　来た日々を

ひとつひとつ　手放して

惜しむことなく　捨て去って

無我に晒した　幸福を

その微笑みは　語ってる　　







～ 真夜中の吟遊詩人
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