1.序
初めまして皆様、
この度こちらのスペースで稚拙な論評を発表するに至った橘と申します。

今回こちらのスペースを利用するということで
僕の簡単な自己紹介をしたいとおもいます。
と云いましても、誕生日とかパーソナルデータを教えるわけではありませんよw

僕が今、取り組んでいる研究と大体僕がこのスペースで語る内容についての
概説のようなものを皆様に紹介したいと思います。

2.研究課題
この章では、僕が現在取り組んでいる研究についての紹介をしたいと思います。
今現在取り組んでいる研究は

『 艶 笑 文 学 と は 何 か 』

についてです。はい、そこ変な目で見ない←
『艶笑文学』、初めて聞く人もいると思いますのでまずは「艶笑」とは何か、
こちらは字義的な意味で教えますと、
「あでやかに笑うこと。」
「いろけのあるおかしみ。」(『広辞苑第五版』より引用)
の二つがあります。大漢和辞典、日本国語大辞典を引用したいところですが、
大変に長くなりますし、まずは親しみを持ってもらいたいということで、
誰でもすぐ確認できるような形で行きたいと思います。
これで大体の「艶笑」というものがどういう概念かのイメージが出来たかと思います。
念のため、艶笑小咄なるものを紹介したいと思います。

「あっちこっち」
えー、こちらはお妾さんを持つ男で、初めはこっそりと囲っておりましたが、
そのうちに本妻にバレてしまった。
ツノが生えるかと思ったら、なかなかものわかりのいいかみさんで、
「いいんですよ、男はそのくらいの甲斐性がなければ、大きな仕事なんぞできやしませんよ。
そのかわりね、向うに熱をあげすぎたら、承知しませんからねッ」
てんで、半分公認になり、男ァ両方をうまく牛耳っております。
本宅で本妻を抱いております、その床の中で
「ねえ、あなた……」
「なんだい?」
「あなたの体はこっちにあっても、心はきっと向こうにあるんでしょうねえ……」
「バカなことを言っちゃァいけない。心も体も、今はこっちだ。」
「あしたは、どうなの?」
「うん、心だけこっちへ置いといて、体は向こうへ行こう」
【定本艶笑落語1・艶笑小咄傑作選/小島貞二編】

こちらが艶笑ものとして落語家が話される作品です。
字義的な意味と今回の話で大分、「艶笑」と云うものに興味を持たれたんではないでしょうか。
ここで一つお互いの共有点としてあげるならば、
「性的なものを孕んだおかしみのある物語。」があると思います。
これを一つのスタンダードとして覚えておいて下さい。

3.結びにかえて
私の研究についての紹介は前章で出来る限りわかりやすくお伝えしました。
次に、それ以外の私が提供するものについてお伝えします。
私がこちらの管理者に任されたのは大まかに
「ある本を読んでその批評をすること」
です。まぁ管理者とやっていることはおおむね同じなんですがね。
ただ、僕が管理者と違うのは物事に対して、かなりWetな立場をとることが多いです。
研究することにおいて客観的な立場でものを見なければいけないのに、
視野が狭くなったり、感情を織り交ぜてしまう危険性を孕んでいます。
ですので、出来る限り皆様に見てもらえるような批評を描くよう努力いたします。

これから不定期になるかもしれませんが、何卒よろしくお願いします。
発禁本・秘本・珍本--城市郎コレクション (河出i文庫)
城 市郎
河出書房新社
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看聞日記から奇談
この奇談について、
蒙古襲来として捉えられた糠岳戦争(応永の外寇)の影響があったとされる。
これは李氏朝鮮による対馬侵攻である
(対馬が倭寇の巣窟となっていた為とされる。
倭寇=日本人という訳ではないので注意)

桜井英治氏『室町人の精神』でも触れられているが、
この部分は浅く触れている程度だったかと思う。


今回紹介する本には


「鎌倉時代のモンゴル戦争以来、中世国家は対外戦争に対して、神威を鼓舞する目的で
神社所領の復興や神社の移築などを行ってきた。そのため、当時の神社勢力はことあるごとに
「怪異」や「神威」を強調して、幕府や朝廷から恩賞に預かろうと画策した。
おそらくここにきてと突然全国の神社から次々と「怪異」の報告がされているのも、
いち早くこんどの事件の情報を嗅ぎつけた神社側が、この機会を利用して利権拡大を
図ろうとしたためとみるべきであろう。」
清水克行『大飢饉、室町社会を襲う!』吉川弘文館2008 p21



と何故怪異が広まったのか、について寺社勢力の
「経済活動」の一環として解釈されている。
私はこの中世の情報網に興味があるので、このあたりの記述は興味深かったです。
そういう情報網については触れられてませんが…他の書籍を探してみようと思います。
(情報史という視点で書かれてた論文のコピーがどこかにあった筈。
たしか一向一揆関連です。またブログのネタにするかもしれません。)

対馬襲撃の情報事態は錯綜してる様も興味深い。
「唐人」の中には鬼の如きものがいた。
海上に浮ぶ兵船は「八万余」。
「対馬」襲撃は「薩摩」上陸に置き換えられ、
主力は「蒙古」であったと看聞日記(応永26年7月20日24日)では記述された。
列島全土に、このような認識が共有されていたらしい。
(根拠:石川県北部に残された『永光寺年代記』/
福島件に残された『異本塔寺長帳』。
どちらとも蒙古軍が攻めてきたという記述がある)
(同上p24辺り)


 この後清水氏は天候だけでなく、政治・経済システムの構造によって
起きた飢饉とし、室町人の飢饉への対応を描いた一般向けの本である。
 飢饉という視点で室町人の精神にまで迫ったもので、面白い。
大飢饉という経験が、日本文化の基層を形作ったものだった、というダイナミックな本でした。
一般向けなので、「村人の結束」の具体的な
推移を知りたいなぁと思う部分もありましたが、興味深い内容(小ネタ)も
散りばめられた本でした。

 古米と新米の値段が、古米の方が高価であった。(1.2~1.3倍)
今は新米の方が重宝されるが、
なぜ中世では古米の方が高価だったのだろうか?
本書には、その答えが書かれています。
 中世的な世界を知る上でも、面白い問と答でした。
本書を通して言える事でもありますが…

大飢饉、室町社会を襲う! (歴史文化ライブラリー)
清水 克行
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 丁度大学のゼミで読んだ論文について、感想や疑問点をツイッターに垂れ流しな感じで
書いたら、著者の方から直接指摘があって驚きました。
 ネットって凄いなぁ。
一応他にも読者さん…いるのだろうか…と思いつつ、
背景説明をします。
 私は学部生で日本史学中世、室町時代が専門です
(と、専門と云えるほど勉強してるかどうか…)
(美術史よりではありますが…)社会史の方面で卒論を書こうとしています。

 戦国時代論が専門ではなく、武将にもそこまで詳しくないです。
(絵師の名前や工房のが詳しいと思う。)
藤木氏の論文は読んでますが、その後の研究史については、あまり触れていません。
(研究史が分厚い分野ですし…)
以上私のスペックでした。


 論文は竹井英文「「関東奥両国惣無事」政策の歴史的性格」
『日本史研究572』2010を読みました。

【Togetter】竹井英文「「関東奥両国惣無事」政策の歴史的性格」を読んで

 どんな事をつぶやいていたかは、上を参照に。
あーなんてメモ書き…つぶやきなんです。はい。

+「惣無事」という言葉を何故豊臣政権は使ったのか?という疑問です。
東国領主達は、「惣無事」と聞いた時に、特定の和睦方法の方※を
頭には浮かべなかったのかなぁ?とも思いました。

※戸谷(穂高)氏「惣無事」という言葉を丹念に検証し、それが東国独自の言葉であって、
「当知行によらず旧状回復を是とする秩序維持の手法を、周辺諸領主が一同に
会して承認し合う、東国領主間における和睦の一形態―竹井氏の論文p8引用

以上が背景です。

藤木氏の提唱した「豊臣平和令」の民衆対象のものは何故機能したのか?
(「喧嘩停止令」「刀狩令」「海賊禁止令」の受け入れをどのように位置付けるか)
中世の慣習である、自力という権利を捨てる事を民衆が受け入れれたのか?
と疑問に思っていました。
(藤木氏の秀吉の提示した惣無事を共通の価値、大名から民衆までの共通意志として
受け入れたという見解で、包括的なダイナミックな理論だと思います)


1 ■初めまして
「「関東奥両国惣無事」政策の歴史的性格」をお読み頂いたようで、ありがとうございます。本人です。あまり「見ましたよ」なんてコメントしない方が良いのかもしれませんが、気になったのでコメントさせてもらいました(笑)

私の議論の基礎は歴史学研究の拙稿の方ですので、合わせてお読み頂ければ幸いです。藤木さんを批判していますが、基本的には政治史の次元の話でして、「平和令論」を全部否定するつもりはありません。戦国社会との関わりという点は歴研論文で意識して組みこんでいるつもりです。

あとは、藤田達生さんた最近の尾下成敏さん、あともうすぐ『史林』に掲載される藤井譲治さんの論文は必見でしょうね。

ということで、字数も少ないのでこのへんで。余計なコメント、失礼しました。




 政治史次元(権力中枢次元)での批判か、平和令全体の批判か、どうか、迷っていたのですが
(次の論文にどのように繋がるのか等も考えてしまって…)

丁寧な指摘ありがとうございました><
紹介していただいた論文も読んでみようと思います。


竹井氏のブログで挙げられている
「城と動物、城とトイレ、城の掃除事情、城と祭礼、城と火事、城と芸能、城と酒、城と兵粮、城の門限、城と伝説、村の城、城の備品、城と信仰、城内の軍勢配置、城門の守備、守備交代の作法、城と呪術、城と古墳」等の視点は、とても気になる内容なので…
ゆっくり読んでいこうと思います。

 こんな辺境の拙ブログにありがとうございました。


久し振りのブログ更新でした…