時計技師の北國さん(仮名)とのメッセージでチューサブの知識を吸収していた日から遠くないある日、会社で作業がスムーズにいかず、怒りに任せてデスクをたたいた時、右手の7016/0からカラカラと音がするのです…(汗)
この時両手着けの右側がチューサブでした(今回はどうでもいいけど左手は79280クロノタイム)。
ヤバい。ローターが取れたかも…。仕事の怒りはすっかり掻き消えてしまい、もう早く帰って裏蓋を開封したい感情だけが膨らんできました。
帰宅するなり裏蓋を開けてみるとやはりイチョウが取れていました( ;∀;)
早速北國さんへ連絡。
デスクに掌底 → 時計破壊 → 修理依頼
古いものなので丁寧に扱って!とたしなめられました。スミマセン…(ーー;
破壊から帰宅までの間誤差なく稼働しておりますが、直るのかどうか心配だったので中身の画像を送りました。
イチョウが外れて見やすくなった時計の内部からは花びらのような刻印が見えました。
また別のアングルの画像からわずかに24という数字が読み取れるよ!と北國さんが教えてくれて…
おさらいをすると、本来の7016/0はETA2461かETA2483機械が収まっているそうです。
開いてみて得た情報に合致するのは25石と書かれている事、見えにくいが24と薄く見える事です。
かなり細部まで作りこんだ偽物個体なのか、初期の7016のみに搭載された機械なのか、どちらにしてもただのもどきではない時計だったということがわかり、時計を壊してしまっているのになんだか浮かれていました。
(ETA2483でヒットした画像。形状と歯車の汚さは似ている様な…)
カスタム7016/0で共通しているのはケースのシリアル刻印が737***で始まっていることです。リューズガードの有無、バラサブと盾サブとイカ針サブも知る限り737のシリアルの範囲にあります…。
しかしシリアル番号を検索しても複数の時計がヒットしない(同じシリアル番号でバラサブとイカサブが出てくることがない)のです。たいして価値が高くもなかった当時のチューサブにそこまでしてパチモンをつくる意味はあるのだろうか?を考えると非効率なので、シリアル個体で真偽の判別は難しいです。
持っているGMTマスター2のパチモンのシリアル”M832118”で検索するとサブマリーナの画像が出てきます。パチモン判別では最も簡単な調査方法です。
理論上ローターがなくても手巻きで稼働はできますので、しばらくはローターレスで使っていましたがリューズの開け閉めが傷みもあってかなり厳しいので数日後に発送しました。ケースとリューズの閉まり具合も調整ができて帰ってくるのを楽しみに待っています。
737***シリアルの謎も今回の調査で明らかになれば、なお研究成果が得られるのでとてもいい機会を頂けたと思ております。まさに怪我の功名…