『日曜日の探偵 Ⅱ 』🐈⬛RBミシュカの事件簿
Ⅱ - 1章 ミッション・インポッシブル?④
探偵達は一通り会場を下見。海兵隊保安警護隊(MSG)のオペレーションルームも視察させて貰った。大使館公邸はアメリカ領土と同義、国防に匹敵するセキュリティシステムだし、不審な電波、あるいはドローンなどの侵入も許さない。イベントの有無問わず侵入・妨害行為があるとしても力技の正面突破は考え辛い鉄壁の警備体制だった。
「やっぱ凄いね。完璧?」と篤人。公邸のライブラリールームを借りて情報整理。
「せやねぇ。こんだけの警備体制なら想定されうる招かれざる客は排除されるわなぁ…せやけど招いた客と潜んどるスパイには無防備なんちゃう」
「ボブさん。今夜のゲストとかスタッフってどうなってるの?」と夢香。
「はい。ゲストは通産系の与野党政治家数名、経済産業省の役人、輸入商社と協賛企業のお偉方、親米派の文化人などですが…ブラックメールの事もあったのでガーデン改修を理由に規模縮小してるです。200名超のインビテーションで歩留まり予測で150名前後。ホスト側は大使始め大使館の広報と企画課、来日する米国農務省(USDA)のトレイシー他十数名ですね。スタッフは大使館各部署からのボランティアで…ケータリングは公邸シェフの指導の元、お隣のホテルオークラに発注してますが、ガーデンパーティのいつものスタッフですから安心です」とボブは資料を手に説明した。
「あっ、それと今夜なんですが、大使表敬訪問のサプライズミュージックゲストがあります」
「えっ、アタイの事?」と夢香。
「えっ…あっ、はい。それも素晴らしいのですが、今来日しているボブ・ディランがパーティ後半に飛び入りでギター弾き語りで歌ってくれるそうなんですね」
「えっ!それは凄い!」と篤人。
「えっ!ソレ凄いの?」と夢香。
「夢香!ノーベル文学賞のシンガーソングライターだよ!めちゃくちゃスゲー。うわぁーサイン貰えるかなぁ」と篤人は単なるミーハー。
「大使館に潜伏しているスパイって事なら…自分の知ってる限り6名は居ますかねぇ…」とボブ。
「えっ!それも凄い!バレバレ?」とまた篤人。
「はい。ロシアと中国とフランスと英国とドイツと日本のスパイが大使館スタッフに居て…日本のスパイってのは僕ですけど…みんな僕の友達ですけどねぇ…」とまたまたややこしい日本におけるスパイワールドだった。
「一応みんなにインタビューしたんですけど、今回のブラックメールの件は知らないみたいだし…特に彼女…中国の蓮花(リェンファ)は怒ってました。『今どきこんな馬鹿な事する中国人は居ないよー』ってね」
「ウチもそう思うわ。『上海紅鯨団』やなんて嘘臭い秘密結社を名乗って、コレってあまりにも中国の妨害行為ですって…あからさま過ぎるんちゃうかなぁって思うわ。明らかに米中の関係悪化を狙い過ぎとる。もっと違う黒幕がおるんちゃうやろか」と名探偵の視点は鋭い。
「それとブラックメールの『前夜祭レセプションは台無しになる』ってのは…何をもってって事や」
「何をもってって?」と夢香。
「どうゆう妨害行為が『テイスト・オブ・アメリカ』のレセプションを台無しにするかや。そこを読まんといかん」
「そ、そうだね。それを…具体的な妨害行為の内容を推理しなければ…逆にそれが判ればイベントを護る事が出来るって事だね」と篤人。
「せや。ダーリン。せやけど…難しい…この警備体制の中、何を仕掛けるんやろなぁ…」と名探偵と見えない敵との闘いが始まったのだった。
【つづく】
( ゚∀ ゚)ハッ!笑いが無い!
と作者と見えない読者( ⌯᷄௰⌯᷅ )との
闘いが始まったのだった💦

