ノース・ウォークという街へ買い物に行った帰り道、確かレンガ通りの十字路に差し掛かる時、右方から走る複数の馬の足音が聞こえた。
私の目の前を大きな黒い馬に乗った騎兵隊がこちらを睨みつけながら横切り、その後ろを絢爛豪華な大きな馬車が通り過ぎた。
その馬車の後ろには荷馬車が続いて走り、最後尾も騎兵隊が周囲を警戒しながら走っていた。
「ピィィーー!!」
突然、最後尾の騎兵隊が笛を鳴らした。
私たちの少し先で馬車が止まり、道を遮るように荷馬車たちも止まった。
荷馬車は大きな布で覆われていたのだが、わずかな隙間から何か光る手のひらサイズのボールようなものが1つ1つ透明な箱に入れられているのが見えた。
馬車から1人女の子が飛び降り、そしてこちらに向かって走ってきた。
「ねぇねぇ、その長〜いパァンどこで買ったの!?美味しいの?どーーんな味がするのぉ?」
フランスパンの入った紙袋を持つ私の母に、その少女が問いかけた。
すぐさまその後ろから男の子が走って来た。
「おぃおぃレェン!いきなり飛び出すなよ!」
私の母は微笑みながら、2本あったパンのうちの1本を取り出して
「これはノース・ウォークのカフェで買ったものですよ。美味しいパンなので良かったらどうぞ。」
「わーい♪ クンクン…いい匂いぃ〜♪」
「す、すみません!おい、レェン!」
ふと見ると、彼らの片方の手には何か機械のようなものが装着されていた。
「いいんですよ。うちはこれで足りますから。」
「本当にすみません。このジュエルを。。。」
「いえいえ、結構ですよ。おすそ分けですから。それよりも、かわいい妹さんね?」
「僕たち双子なんです。僕が弟。」
明らかに私より少し年下なのだが何故か私よりしっかりしている印象だった。
彼は私の方をみて、話しかけて来た。
「もしかして、君もキーブレード使い?」
彼は私の手を探るように見ながら答えを待った。
人見知りの私はちょっと戸惑いながら
「ま、まぁね、今は1人で修行してるんだけどね。」
「そうなんだぁ!でも今噛んだよねぇ?ってか俺は剣術が苦手だったから辞めちゃったぁ。あ、俺はラァン、君は?」
「俺はアスト、よろしく。」
そんなきっかけで、私はラァンと友達になったのだった。
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実はラァンは「立派なキーブレード使いになるように」と、両親から期待されていたのだという。
皆が羨むような 予知者・イラ との修行もしたのだが
私がラァンと初めてあったあの日も、レェンを連れての修行の帰りで、荷馬車に乗っていた光るボールのようなものは、ミラージュ(私たちでいうエネミー)をジェム化したものなのだと教えてくれた。
この双子はきっとお笑い芸人になるんだろうなーと思うほど2人のボケとツッコミは多かった。。。汗
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しかしそんな彼らも、つい1年ほど前、世界の七柱と呼ばれる最強のミラージュたちすらを使役し、世界の王たる資格を得たとされ、世界王になると言われていたのだが。。。
先日、ラァンとレェンは突然の原因不明の長い眠りについてしまったと聞いている。
彼らが彷徨う眠りの意味と、その世界は存在する。
私たちは、その彼らに会いに行くことができる。
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