会期終了が迫ってきたので、先週、”超絶技巧! 明治工芸の粋”を見に行ってきました~
京都の清水三年坂美術館の所蔵品が出展されるということで、以前京都に行った時に、清水三年坂美術館や並河靖之七宝記念館を訪れ、かなりの感銘を受けたので、またあんな素晴らしい作品たちを見られるなんて本当にいい機会でした
展示品は、七宝、金工、漆工、薩摩焼、刀装具、自在、牙彫、印籠、刺繍絵画など多岐にわたり、超絶技巧が冴え渡った作品ばかり!
一番のお目当ては七宝だったのですが、並河靖之の作品がやはり好きです
壺や瓶、香炉、香合など小ぶりの手のひらサイズのものが多く、大きくても高さ20~30cmくらいのものが殆どで、そこにものすごく繊細で細緻な図柄が描かれているんですよ!!
渋かったり鮮やかだったりと色使いが絶妙で、日本風の文様を使っているのに花や葉、蔓の表現がアール・ヌーヴォーなかんじも漂わせ、気品があり、凛とした雰囲気でありつつ、可愛らしくもある、というとてつもなく魅力的な作品なのです
でも濤川惣助の無線七宝も、金属線を取り除くため、地の色と模様の色の境界線がふわ~っとぼやけて、水彩画のような幻想的で儚げな独特の美しさがありました(有線七宝を極めた京都の並河と、無線七宝を編み出した東京の濤川、字は違うけど奇しくも同時代の東西にナミカワという、二人の名工がいたのです!)
自在(細かなパーツが組み合わせられていて、いろんな部分が自由自在に動かせるようになっている置物)や牙彫は、リアルで細かい細工に本当に驚愕します
自在では、蛇や龍の身をくねらせるしなやかなポーズも難なく可能で、龍なんて脚や爪、舌も動き、口の開閉もできるとかで、昆虫は羽や脚、触覚などを動かせ、蜂に至っては、お尻の先から針の出し入れもできるという…!
牙彫では、安藤緑山という人の果物や野菜の彫刻が彩色もされているので、非常にリアルです
みかんとか柿とかテーブルに置いてあったら、下手するとうっかり食べようとしちゃうんじゃないかというレベルです
”蜂の巣”という作品では、蜂ももちろん不気味なくらいリアルなのに、巣の中に卵から孵った幼虫がちらほらいたりして更に気持ち悪いことこのうえなく、でもあまりに見事で目がそらせず、気持ち悪さを何度もつい確認
漆工では、蒔絵やさまざまな象嵌(芝山細工、杣田細工の螺鈿の象嵌が素敵すぎ)による美麗な調度品があり、小さな美術品である印籠にも蒔絵や螺鈿、七宝などの技が遺憾なく発揮され、もううっとりでした
あまりに細工が細かい(蝶の柄が米粒くらいとか!)ので、時々作品の手前に拡大鏡が置いてあったりしたのですが、とにかく皆出来るだけ近くで見たいと思うためか、ガラスにおでこなどをぶつけたとおぼしき皮脂やファンデの跡が、今まで見たことがないくらいあちこちに付いていました
とにかく明治というのは、江戸までの工芸的技術が芸術的な美に昇華し、奇跡のような光を放ったそんな時代でもあったのだなということが体感できました
万国博覧会が盛んになり始めた世界的な情勢と、幕末・明治期に需要のなくなってきた刀装具や甲冑、馬具、武具の職人たちが金工や自在、象嵌などの細工に技術を注ぎ込み、海外にも輸出されるようになったという時代背景が相まって、さまざまなジャンルの名工により、洒脱で粋でモダンな意匠で、確かな技術に裏打ちされた驚異的なほどに精緻な作品が生み出されたのですね~
~並河靖之 花瓶とお皿(部分)~
~濤川惣助 花瓶(と下はカタログ 白い藤が無線七宝)~
京都の清水三年坂美術館の所蔵品が出展されるということで、以前京都に行った時に、清水三年坂美術館や並河靖之七宝記念館を訪れ、かなりの感銘を受けたので、またあんな素晴らしい作品たちを見られるなんて本当にいい機会でした
展示品は、七宝、金工、漆工、薩摩焼、刀装具、自在、牙彫、印籠、刺繍絵画など多岐にわたり、超絶技巧が冴え渡った作品ばかり!
一番のお目当ては七宝だったのですが、並河靖之の作品がやはり好きです
壺や瓶、香炉、香合など小ぶりの手のひらサイズのものが多く、大きくても高さ20~30cmくらいのものが殆どで、そこにものすごく繊細で細緻な図柄が描かれているんですよ!!
渋かったり鮮やかだったりと色使いが絶妙で、日本風の文様を使っているのに花や葉、蔓の表現がアール・ヌーヴォーなかんじも漂わせ、気品があり、凛とした雰囲気でありつつ、可愛らしくもある、というとてつもなく魅力的な作品なのです
でも濤川惣助の無線七宝も、金属線を取り除くため、地の色と模様の色の境界線がふわ~っとぼやけて、水彩画のような幻想的で儚げな独特の美しさがありました(有線七宝を極めた京都の並河と、無線七宝を編み出した東京の濤川、字は違うけど奇しくも同時代の東西にナミカワという、二人の名工がいたのです!)
自在(細かなパーツが組み合わせられていて、いろんな部分が自由自在に動かせるようになっている置物)や牙彫は、リアルで細かい細工に本当に驚愕します
自在では、蛇や龍の身をくねらせるしなやかなポーズも難なく可能で、龍なんて脚や爪、舌も動き、口の開閉もできるとかで、昆虫は羽や脚、触覚などを動かせ、蜂に至っては、お尻の先から針の出し入れもできるという…!
牙彫では、安藤緑山という人の果物や野菜の彫刻が彩色もされているので、非常にリアルです
みかんとか柿とかテーブルに置いてあったら、下手するとうっかり食べようとしちゃうんじゃないかというレベルです
”蜂の巣”という作品では、蜂ももちろん不気味なくらいリアルなのに、巣の中に卵から孵った幼虫がちらほらいたりして更に気持ち悪いことこのうえなく、でもあまりに見事で目がそらせず、気持ち悪さを何度もつい確認
漆工では、蒔絵やさまざまな象嵌(芝山細工、杣田細工の螺鈿の象嵌が素敵すぎ)による美麗な調度品があり、小さな美術品である印籠にも蒔絵や螺鈿、七宝などの技が遺憾なく発揮され、もううっとりでした
あまりに細工が細かい(蝶の柄が米粒くらいとか!)ので、時々作品の手前に拡大鏡が置いてあったりしたのですが、とにかく皆出来るだけ近くで見たいと思うためか、ガラスにおでこなどをぶつけたとおぼしき皮脂やファンデの跡が、今まで見たことがないくらいあちこちに付いていました
とにかく明治というのは、江戸までの工芸的技術が芸術的な美に昇華し、奇跡のような光を放ったそんな時代でもあったのだなということが体感できました
万国博覧会が盛んになり始めた世界的な情勢と、幕末・明治期に需要のなくなってきた刀装具や甲冑、馬具、武具の職人たちが金工や自在、象嵌などの細工に技術を注ぎ込み、海外にも輸出されるようになったという時代背景が相まって、さまざまなジャンルの名工により、洒脱で粋でモダンな意匠で、確かな技術に裏打ちされた驚異的なほどに精緻な作品が生み出されたのですね~
~並河靖之 花瓶とお皿(部分)~
~濤川惣助 花瓶(と下はカタログ 白い藤が無線七宝)~