こんにちは!

 

お読みいただきありがとうございます。

 

らすかるです。

 

前回の記事で私の投資スタイルが高配当株投資であることをお話ししました。

 

その際、巷で投資家を騒がせている、高配当で有名なあおぞら銀行(8304)に触れました。

 

結論から言えば、アメリカでの損失が原因で今年度の業績予想を大幅に下方修正し、それに伴い魅力だった配当が減少したことで、株価が大暴落した、と言うものです。

 

今回は一連の流れを詳しく追っていこうと思います。

 

もし前回の記事をお読みでない方は、こちらから是非どうぞ!

 

 

 

そもそもあおぞら銀行って?

話題に入る前に、あおぞら銀行の基本情報から確認しましょう。

 

あおぞら銀行は、1957年に日本不動産銀行として設立されました。

2006年に普通銀行に転換し、現在は東証プライム市場に上場しています。

 

国内には20支店拠点を設けており、総資産は7兆7593億円となっています。

 

他の情報は以下の通りです。(2月6日現在)

 

・時価総額: 2581億6700万円 

・発行済株式数: 118,289,418株

・配当利回り: 3.48%

・1株配当(予想): 76円 (2024/03)

・PBR(実績): (連)0.63倍

・EPS(予想): (連)-239.71円 (2024/03)

 

 

余談にはなりますが、高配当株として投資家の間では有名だったこのあおぞら銀行、実は銀行としても預金者から人気があったんです。

 

と言うのも、あおぞら銀行の普通預金の金利はなんと、0.2%!!

 

驚きですよね。

 

他の銀行と比べてもこの数字は飛び抜けていて、実にメガバンクの200倍だそうです笑

 

超低金利の日本では信じられない数字ですね。

 

 

何が起こった?

さて、ここからは今回の目玉、あおぞら銀行に何が起きたのか解説していきます。

 

ことの発端は2024年2月1日。

 

この日、あおぞら銀行は2024年3月期 第3四半期決算短信を発表したのですが、その内容が衝撃的なものでした。以下、NHKからの引用です。

 

「あおぞら銀行は今年度の業績予想を下方修正し、最終的な損益がこれまでの黒字予想から一転して280億円の赤字になるという見通しを発表しました。赤字になれば15年ぶりで、厳しい状況が続くアメリカの商業用不動産向けのローン事業で損失に備える引当金を積み増したことが主な要因です。」

 

引用: NHK

 

 

少し複雑なので分けて見てみましょう。

 

まず、「あおぞら銀行は今年度の業績予想を下方修正し、最終的な損益がこれまでの黒字予想から一転して280億円の赤字になるという見通しを発表しました」

 

この部分ですね。

 

前回発表は240億円の黒字予想だったのが、今回の発表で280億円の赤字に修正されました。

 

下の画像は決算と一緒に発表された適時開示、「2024年3月期 通期業績予想および配当予想の修正に関するお知らせ」からの引用です。

 

 

当期純利益の部分が240から△280になっていますね。

 

実に520億円の下方修正です。

 

また、1株あたり純利益(EPS)も205円51銭から△239円76銭となっています。

 

 

続いて「赤字になれば15年ぶりで」と言うところですが、最終的に純損失を計上することになれば、リーマンショック後の2009年3月期以来とのことです。

 

 

そして原因についてです。

 

「厳しい状況が続くアメリカの商業用不動産向けのローン事業で損失に備える引当金を積み増したことが主な要因です」とあります。

 

あおぞら銀行はアメリカで、オフィス向けの不動産融資に積極的でした。

 

しかし、新型コロナ以降、働き方が在宅勤務にシフトしたことによりオフィスに人は戻って来ず、需要が一気に減ってしまいました。

 

また、アメリカで金利が急上昇したことも相まって、最終的に融資の回収が見込めなくなってしまったのです。

 

引当金とは、将来発生するであろう損失に備えるため、あらかじめ当期の費用として繰り入れて準備しておく見積もり金額のことです。

 

結果的に、あおぞら銀行は324億円を引き当てすることを余儀なくされました。

 

 

少し長くなってしまいましたが、この赤字が原因で減配が発表されました。

 

下の表は先程と同じく「2024年3月期 通期業績予想および配当予想の修正に関するお知らせ」からの引用です。

 

 

前期は1株配当が154円だったのが、今期は半分以下の76円になってしまいました。

 

第三四半期、そして期末での配当がなくなってしまったからですね。

 

 

さて、あおぞら銀行は高配当株として人気だったわけですから、ここまで配当が減ると株価はどうなるかお分かりでしょう。

 

こちら2023年1月以降のチャートになります。

 

9月から10月にかけての急落を除けば、去年は綺麗な右肩上がりだったのですが...

 

大暴落ですね。

 

 

決算が発表された1日の取引で、前日比21%安の2557円とストップ安になってしまいました。

 

さらにそこから価格を下げ、6日現在は2182円5銭となっています。

 

 

株を買わなかった理由

前回の記事にも書いたように、実は私はあおぞら銀行を買うつもりでした。

 

何せ銀行業の中でもかなり高配当でしたからね。

 

ただ、最終的には買わなかった理由が2つあります。

 

一つ目は、営業キャッシュフロー。

営業キャッシュフローとは、事業活動による収入と支出のバランスです。 つまり、本業を行った結果として、実際にお金がいくら増えたか減ったかが分かる項目です。

 

一言で言うと、営業キャッシュフローは基本的にプラスでなければならないです。

 

と言うのも、マイナスであると本業でお金を稼げていない、または資金繰りに問題を抱えている状態だからです。

 

にも関わらず、以下の表からも分かるように、あおぞら銀行の営業キャッシュフローはかなりの頻度でマイナスになっています。(IRバンクより)

 

一番左の行ですね。

 

 

数回マイナスになっているのならまだしも、これだけ多いとなると長期保有には向いていないですね。

 

二つ目は、配当性向。

配当性向は、配当金支払額 ÷ 当期純利益 × 100

 

または

 

1株当たり配当額 ÷1株当たり当期純利益(EPS)× 100

 

で求めることができます。

 

ものすごくざっくり言ってしまえば、一年で稼いだ金額のうち、どれくらいを投資家に還元しているか、と言うものです。

 

目安としては50%以下くらいで、これはつまり一年で稼いだ金額のうち半分を配当金に使っていると言うことになります。

 

これが例えば100%になってしまうと、当期純利益全てを株主に配っていることになるので、不健全な状態だと言うことです。

 

さて、そこで見ていただきたいのは以下のグラフ。(IRバンクより)

 

こちらのグラフは、あおぞら銀行の一株配当及び配当性向の推移を示したものです。

 

注目していただきたいのは、去年、2023年の配当性向。

 

なんと、206.2%...!!!笑

 

これはつまり、当期純利益の2倍の金額を配当として出している、と言うことですね。

 

これは会社からお金が流出している状況であり、配当政策としてはものすごく不健全になっています。高配当を維持するために無理をしてでも配当金を出していると言うことだからです。

 

正直この配当性向が一番の理由でした。

 

100%でも危ないのに、200%越えとなると...笑

 

改めて買う前に下調べをすることは大事だなと実感しました。

 

 

投資家への影響は?

こちらの画像は新NISA、成長投資枠の週間買付金額ランキングです。(SBIのHPより)

 

1月29日から2月2日のもので、まさに決算が発表されたあたりなのですが...

 

なんとあおぞら銀行は2位なんです。かなりの方が新NISAで買っていたということですね。

 

ここまでだと投資家の方への被害もかなり大きそうです。

 

 

おしまい

今回のまとめになります。

 

国内のネットバンクであるあおぞら銀行が、アメリカでの損失が原因で業績を下方修正 & 減配を発表しました。

 

あおぞら銀行は高配当が魅力だったため、決算発表後株価が大暴落した、と言うのが一連の流れになります。

 

株を買うときは企業業績をしっかり分析することが大事ですね。

 

 

それでは、今回はここまで。

 

お読みいただきありがとうございました!